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あいちトリエンナーレ 国の補助金不交付 知事は提訴の意向

2019年9月27日の朝日新聞、中日新聞の朝刊などによると、「あいちトリエンナーレ2019」の「表現の不自由展・その後」が中止となった問題で、文化庁が26日に、採択を決めていたトリエンナーレへの補助金約7800万円を全額交付しない方針を発表したのを受け、トリエンナーレの実行委会長である大村秀章愛知県知事は「合理的な理由がない」として裁判で争う意向を示した。
文化庁は、展示内容の問題でなく、慰安婦を象徴した少女像などの展示で予想された運営を脅かす事態や、会場の安全性確保、円滑な運営のために必要な重要な情報が申告されず、手続き上の不備があったとしている。大村知事は、少女像などの展示内容がよくないという理由で不交付になったと推定せざるを得ないとして、「憲法が保障する表現の不自由に対する重大な侵害」だと批判。「表現の自由を高らかに掲げて裁判に臨む」などと話し、速やかに法的措置をとって裁判で文科省の見解をただしたいとした。一方の萩生田光一文部科学相は、「検閲に当たらない」と強調した。
朝日新聞は、27日の社説で、補助金の不交付について、「前例のない異常な措置だ」と指弾。萩生田文科相の説明を「そのまま受け入れることはできない」とし、菅義偉官房長官が早くも8月初めに補助金の見直しを示唆する発言をしていたことにも触れ、一連の経緯から「政府が展示内容に立ち入って交付の取り消しを決めたのは明らかだ」「『政府の意に沿わない事業には金を出さない』と内外に宣明したに等しい」とも書いている。
中日新聞などによると、運営が危ぶまれた場合に報告が必要だという国の見解に対し、愛知県は、展示内容は申請で必要とされておらず、提出書類に運営上の懸念を申告する欄もないとしている。名古屋市の河村たかし市長は、国の補助金不交付を「真っ当な判断」だとし、「(市のトリエンナーレ負担金についても)国と共同歩調を取りたい」などと話した。
トリエンナーレの総事業費は12億円で、負担は、県が6億円以上、名古屋市が2億円、国の補助金が7800万円などの予算だった。

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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