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愛知県美術館が2024年度の展覧会スケジュールを発表

 愛知県美術館が2024年度の展覧会スケジュールを発表した。

コレクションズ・ラリー 愛知県美術館・愛知県陶磁美術館共同企画 2024年1月16日〜4月14日

 縄文から現代までのコレクションの中から、4つのテーマに沿って作品を紹介。美術、陶芸といったジャンルを越えて作品が共鳴しあう。

☆コスチュームジュエリー:美の変革者たち シャネル、ディオール、スキャパレッリ 小瀧千佐子コレクションより 2024年4月26日〜6月30日

 「これは、偽りなく美しい “ニセモノ” のジュエリー」―あえて本真珠と模造パールをあわせて身に着けた、ガブリエル・シャネルの言葉である。彼女にとって、素材が何であれ、デザインやスタイルにこそ真の価値があることを表している。コスチュームジュエリーとは、宝石や貴金属を用いず、ガラスや貝、樹脂など多種多様な素材で制作されるファッションジュエリー。素材から解放され自由なデザインを提案できるコスチュームジュエリーを、20世紀初頭のポール・ポワレが先駆けとなり、以降シャネルやディオール、スキャパレッリなどフランスのオートクチュールのデザイナーたちがこぞって取り入れた。やがてヨーロッパ、そして戦後はおもにアメリカで、コスチュームジュエリーは広く普及し、当時の女性たちに装う楽しみだけではなく、生きる活力、自由や自立の精神をもたらした。本展は20世紀初めから戦後に至るコスチュームジュエリーの歴史的展開を紹介する日本初の展覧会。小瀧千佐子氏による世界的に希少なコレクションから、ジュエリー約450点と、当時のドレスやファッション雑誌などの関連作品を展示する。

☆アブソリュート・チェアーズ 現代美術における椅子なるもの 2024年7月18日〜9月23日

 椅子の機能は、座る姿勢を支えるというだけにとどまらない。拡張された身体として、権威の象徴として、あるいは記憶の依り代(よりしろ)として、椅子はさまざまな意味や象徴性をまとっている。椅子は多くのデザイナーや建築家の創造性を刺激する究極のテーマであると同時に、アーティストにとっても魅力的なモチーフとなってきた。アーティストたちは椅子と結びつく多様なイメージをとらえ、作品を通じて社会の中の不和や矛盾、個人的な記憶や他者との関係性などを浮かび上がらせてきた。現代美術における椅子は、日常で使う椅子にはない極端なあり方、逸脱したあり方によって、私たちの思考に揺さぶりをかける。本展は、デザインの文脈を離れた新たな視点で、主に戦後から現代までの平面・立体・写真・映像・ダンス作品約70点における椅子の表現に着目し、椅子という身近な存在から社会や人間の在り様を考察する。

☆相国寺承天閣美術館開館40周年記念 相国寺展―金閣・銀閣 鳳凰がみつめた美の歴史 2024年10月11日〜11月27日

 京都御所の北にある相国寺は、室町幕府三代将軍足利義満の発願により、創建された。夢窓疎石を開山に迎え、10年を経て実質上の開山である春屋妙葩(しゅんおく・みょうは)の代に大規模な伽藍が完成した。山外塔頭の金閣(鹿苑寺)、銀閣(慈照寺)を含む相国寺派は、多くの名品古画を集め、各時代の重要な作家を育てた。本展では、中国から輸入された古画、名僧たちの頂相や墨蹟のほか、室町時代の画僧、如拙、周文、そして雪舟、さらに江戸時代初期の狩野探幽や江戸時代中期の伊藤若冲などの名品を通じて、相国寺を中心に形成された京の美の世界を紹介する。

☆パウル・クレー展 創造をめぐる星座 2025年1月18日~3月16日

 抽象的でありながら、豊かな詩情と物語性のある作品を描いたパウル・クレー(1879-1940)は、日本でも親しまれているスイス生まれの画家。しかしながら、彼が表現主義やシュルレアリスムといった同時代の運動と、どのように関わっていたのかは、あまり知られていない。 スイス・ベルンのパウル・クレー・センターの協力を得て開催する本展では、同時代の芸術家の作品との比較を通じて、歴史を超越した天才、あるいは内省にふける孤高の芸術家としてではなく、多くの人や情報との交差のなかで生きた芸術としてクレーを捉え直す。

国際芸術祭「あいち 2025」 2025年9月13日~11月30日 会場:愛知芸術文化センター、瀬戸市の愛知県陶磁美術館、同市まちなか

コンセプト(要約版) by国際芸術祭「あいち2025」芸術監督フール・アル・カシミ

 国際芸術祭「あいち2025」は、詩人アドニスの詩集『灰と薔薇の間の時』から出発します。その心情とヴィジョンに共鳴するこの芸術祭は、現在の人間と環境の間の分断を照らし出す国家や領土といった目先の視点からではなく、地質学的な時間軸によって見えてくる未来の展望を提示します。本芸術祭は、極端な終末論と楽観論を中心に据えるのではなく、環境正義*の重なり合う複雑さを扱うことで、自らの責任に向き合い、不正義への加担を自覚するよう促しています。そしてまたこの芸術祭は、破壊と開花のあいまにある陰影のニュアンスや表現、人間と環境の複雑に絡み合った関係を強調します。
 世界中から招くアーティストやコレクティブによる作品は、私たちが生きる環境について既に語られている、そしてまだ見ぬ物語を具現化してくれるでしょう。キュレーターの使命とアーティストの作品は、この芸術祭の地域性を掘り下げ、陶磁器や「せともの」の生産に触発された環境の物語を掘り起こします。こうした産業は地域の誇りの源であり、人間と環境の関係の新しく実験的なモデルを模索する本芸術祭の枠組みを支えています。愛知の産業史において、陶磁器生産によって灰のように黒く染まった空は、環境の汚染や破壊よりもむしろ繁栄を意味していました。こうした地場産業や地域遺産は、人間と環境の複雑に絡み合った関係について、ニュアンスに富んだ思考への道を開いてくれるのでしょうか。「灰と薔薇のあいまに」とは、当然視されてきた位置づけやヒエラルキーが解きほぐされるよう、幅を持ち中間にある状態を引き受けること、そのような横断的なあり方なのです。

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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