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愛知県美術館 若手アーティストの購入作品公開の第3弾 1月22日-3月13日

コロナ禍支援の特別枠

 新型コロナウイルスの感染拡大でアーティストの作品発表の機会が失われる中、 愛知県の美術品等取得基金の特別枠で若手作家の現代美術作品を重点的に購入する取り組みの第3弾の作品が、愛知県美術館で2022年1月22日~3月13日に開催されるコレクション展(企画展「ミニマル/コンセプチュアル」と同時開催)で公開される。

 2021年度第3期コレクション展の一環。

  第3弾の作品は、若手作家12人の64点で、全てを公開する。

12人の若手アーティスト

 12人は、青田真也大田黒衣美小栗沙弥子加藤巧斉と公平太THE COPY TRAVELERS玉山拓郎平田あすか文谷有佳里水野里奈、八幡亜樹、鷲尾友公。

作品

平田あすか

平田あすか
《大地の音図》2020年 アクリル絵具、画布、162.0×390.0㎝

 平田あすかさんは1978年、名古屋市生まれ。

 人間と獣や魚、鳥、蝶、植物などの合体や、擬人化した山々な ど、物語的なイメージを描いてきた。この作品では、夕日に染まる赤い大地を、 裸の人間を先頭に20種類の野生動物が右に進んでいる。

 題名は、彼らの足音や鼓動、息遣いの総体だという。よく見ると、各動物の足先から人間の手と足が出 ている。人間の足先も別人のもので、姿形は違っても、生命の本質は同じであり、互 いに深く繋がっているという、平田の意識を表している。

 2020年の個展レビュー「平田あすか個展 大地の音」も参照。

水野里奈

水野里奈
《Peacock Garden》2021年 油彩・インク、画布、181.8×227.3㎝

 水野里奈さんは1989年、愛知県春日井市生まれ。

 中東地域の細密画が持つ緻密な装飾性と、伊藤若冲の水墨画が 持つダイナミックな筆致の要素、加えて、ヨーロッパ由来の透視図法的な空間を、パズルのように組み合わせて画面を重層的に構成している。

 油彩だけではなく、ボールペンも使用。絵画的な部分と素描的な部分が共存している。絵画様式の平面的な混交ではない、密度の高いオリジナルな絵画を作り出し、鑑賞者の目を決して飽きさせない。

 「名古屋市美術館 現代美術のポジション 2021-2022」も参照。

青田真也

青田真也

 青田真也さんは1982年、大阪府生まれ。

 木彫りの民芸品、プラスチックボトルなどの表面をわずかに削りとることで、既製品に変容を加えている。

 「task  アートラボあいち 名古屋芸術大による企画展」も参照。

大田黒衣美

大田黒衣美

 大田黒衣美さんは1980年、福岡県生まれ。

 チューインガムや猫の体など、一見何か分からない素材を構成した写真など、素材を通常のあり方とは異なる方法で使い、イメージや立体をつくっている。

 「名古屋芸大『The Practice of Everyday Practice 日常の実践の練習』11月16日まで」「task  アートラボあいち 名古屋芸術大による企画展」も参照。

小栗沙弥子

小栗沙弥子

 小栗沙弥子さんは1978年、岐阜県生まれ。

 キャンバスの木枠を削ったフレームや、紙片でつくった住宅模型のような小立体などによって、俯瞰的な空間を意識させる。

 「絵画の忘れ方 エビスアートラボ(名古屋)12月10-26日、1月14-30日」「小栗沙弥子展 愛知県立芸大 SA・KURA 3月21日まで」も参照。

加藤巧

加藤巧

 加藤巧さんは1984年、名古屋市生まれ。

 「加藤巧 gallery N(名古屋)で12月26日まで」も参照。

斉と公平太

斉と公平太

 斉と公平太さんは1972年、愛知県日進市生まれ。

 「斉と公平太 名古屋のSee Saw(シーソー)で10月23日まで」も参照。

THE COPY TRAVELERS

THE COPY TRAVELERS

 加納俊輔さん、迫鉄平さん、上田良さんの3人のユニット。写真や印刷物などの画像を複製、コラージュするなど複雑に加工した遊戯的な試み。

 Lights Gallery(名古屋)で2019年にあった「二人展 上田良・澤田華/テキサス・ヒットがやってくる」も参照。

玉山拓郎

玉山拓郎

 玉山拓郎さんは1990年、岐阜県生まれ。

 日常的な素材を転用し、時間や空間の感覚をずらす作品を展開している。

 「豊田市美術館 光について/光をともして」「AICHI ⇆ONLINE」の記事も参照。

文谷有佳里

文谷有佳里

 文谷有佳里さんは1985年、岡山県生まれ。

 多様な線を駆使したシンプルながら豊かな空間をはらんだドローイング。

八幡亜樹

八幡亜樹

 八幡亜樹さんは1985年、東京都生まれ。

 ミクロネシアのピンゲラップ島で行われる伝統的なトビウオ漁をモチーフとした映像作品。

鷲尾友公

鷲尾友公

 1977年、愛知県愛西市生まれ。

 民主化運動に揺れる香港が題材。ストリートカルチャーの中で描いてきた感覚がいきいきと表されている。 

これまでの経緯

 愛知県は、2020年度から2022年度まで、美術品等取得基金に 3カ年で1億円の特別枠を設け、日本在住の若手作家(20~40代)が制作した現代美術作品を購入する。

 2020年度に第1弾、第2弾として、30作家の作品78点を愛知県美術館で購入した。2021年度の今回は3回目。

 購入の背景は、「愛知県が1億円(3年間)の特別枠 県美術館が若手作品を購入」を参照。

 第1弾の展示レビューは、「愛知県美術館 2020年度第3期コレクション展」を参照。

 第2弾の展示レビューは、「愛知県美術館 コロナ禍支援で購入した若手美術家の作品の第2弾 1月15日から公開」を参照。

鑑賞ガイド

開催期間:2022年1月22日~3月13日、毎週月曜日休館
開館時間:午前10時~午後6時、金曜日は午後8時まで
会  場:愛知芸術文化センター10階 愛知県美術館
観 覧 料:一般 500円、高校・大学生 300円、中学生以下 無料
※コレクション展のほかの作品も見られる。
※企画展「ミニマル/コンセプチュアル」のチケッ トでも見ることができる。

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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