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2023-2024年 主な中部(東海)の展覧会 愛知(名古屋)、三重、岐阜、静岡、長野、石川、富山、滋賀、京都の美術館・博物館(随時更新)

  • 2022年10月31日
  • 2024年8月25日
  • 美術

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2023-2024年 主な関西の展覧会 滋賀、京都、大阪、兵庫(神戸)、奈良、和歌山の美術館・博物館(随時更新)

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2024-2025年 主な中部(東海)の展覧会 愛知(名古屋)、三重、岐阜、静岡、長野、石川、富山、滋賀、京都の美術館・博物館(随時更新)

2024-2025年 主な関西の展覧会 滋賀、京都、大阪、兵庫(神戸)、奈良、和歌山の美術館・博物館(随時更新)

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愛知県美術館

展覧会 岡本太郎 2023年1月14日~3月14日

 《太陽の塔》で知られる芸術家・岡本太郎(1911-1996)の大回顧展を開催する。1929年に渡仏した岡本太郎は、抽象表現に影響を受けながら画家としてのアイデンティティを確立していく。帰国後、自らの芸術理念の核となる「対極主義」を提唱。制作だけではなく『今日の芸術』、『日本の伝統』などの書籍を通じ文化・芸術論を展開する。《太陽の塔》を頂点とするパブリックな空間に展開する巨大な彫刻や壁画など生活の中で生きる作品群は、「芸術は大衆のものである」という岡本太郎の信念そのものを象徴し、それ故に没後もなお、多くの人々を惹き付けている。岡本太郎の代表作を網羅しつつ、これまであまり注目されてこなかった晩年の作品も紹介する。

愛知県美術館・豊田市美術館 同時期開催コレクション展 徳冨満──テーブルの上の宇宙 2023年1月14日〜3月14日

 名古屋市に生まれた徳冨満(1966-2001年)は、知覚と認識のあいだのちょっとした ズレや、物のかたちと同一性をめぐる思索を、鮮やかな手つきで作品として提示したアーティストである。東京藝術大学を卒業後、愛知県新進芸術家海外留学奨学金を得て、英国ロンドンへ渡った徳冨は、当時アートシーンを賑わせていたYBAs(ヤング・ブリティッシュ・アーティスト)からの刺激を受けた。その後、外界を目で見ることそのものをあらためて深く問い直し、身体的なスケール感覚と天文学的な距離や大きさの感覚を接続するなどして、独特な思考をかたちにするようになった。2000年に急性白血病の診断を受けて帰国。翌2001年、35歳の若さでこの世を去った。愛知県美術館と豊田市美術館は、2016年度から作家遺族が保管する作品の調査を進め、収蔵をした。「plus, minus, infinity」(小山登美夫ギャラリー、2006年)以来17年ぶりとなるこの度の回顧展では、両館が所蔵する全作品の展示を通じて、絵画、彫刻、インスタレーションと、短い活動期間にもかかわらず多彩な作品を生み出したアーティスト・徳冨満の全貌を紹介する。

近代日本の視覚開化 明治ーー呼応し合う西洋と日本のイメージ 2023年4月14日〜5月31日

 江戸時代から明治という新時代への転換は、政治経済体制だけでなく、人々の生活や文化全般を含む、さまざまな状況を変容させた。造形活動の領域でも、多彩な動向が生まれ、展開した。西洋から入ってきた情報や技術、イメージは、当時の人々に新たな視覚ーー新たなものの見え方や見方、見せ方を開いた。「文明開化」は「視覚開化」でもあった。本展では、明治期の美術、工芸を多数所蔵する神奈川県立歴史博物館のコレクションを中心に、他の美術館、博物館、個人蔵の作品や資料を加えて、明治期特有の表現がみられる絵画、写真、印刷物、彫刻、工芸などを展示。時代の転換期に和洋の化学反応によって生まれたさまざまな表現と明治美術の新たな一面を紹介する。 

☆幻の愛知県博物館 2023年6月30日〜8月27日

 明治初期にたびたび博覧会場として使われた名古屋・総見寺の境内に、1878(明治11)年に誕生した博物館は、5年後に「愛知県博物館」と改称し、県立の博物館となった。その後も、商品陳列館などと名を変えながら活動した同館は、現在、私たちが博物館と聞いてイメージする姿とはずいぶん異なり、美術工芸、歴史、衛生、教育、農林水産、工業、鉱業など、幅広い分野の作品や商品、資料を収集・陳列・販売し、動物園や温室まで備えた一大総合博物館だった。本展は、戦後、日本の各地に博物館や美術館が建設される中で、いつのまにか忘れられた、殖産興業に比重を置く総合的な産業技術博物館としての、ありえたかもしれない「愛知県博物館」について考察する。

☆安井仲治展 2023年10月6日〜11月27日

 日本の写真史の中でも傑出した存在として知られる安井仲治(1903-1942年)。短い活動期間にもかかわらず、1930年代までに花開いたさまざまな写真表現のスタイルを吟味し、多様な対象にカメラを向けることで、現実の断片の中から強烈な象徴性をつかみ出した。彼は当時の写真界に大きな足跡を残し、戦後の多くの作家にも影響を与えている。本展は、戦災を免れたヴィンテージプリントとネガの調査をもとに、彼の撮影活動の実態のさらなる解明を試みる。複数のネガの合成やトリミングなど、印画の段階で施された創意工夫を明らかにし、安井の写真家としての活動をより実証的に描き出す機会とする。

第27回アートフィルム・フェスティバル 2023年10月21日~11月1日 会場:愛知芸術文化センター12階アートスペースA

☆コレクションズ・ラリー 愛知県美術館・愛知県陶磁美術館共同企画 2024年1月16日〜4月14日

 縄文から現代までのコレクションの中から、4つのテーマに沿って作品を紹介。美術、陶芸といったジャンルを越えて作品が共鳴しあう。

名古屋市美術館

特別展「コレクションの20世紀」 2023年4月15日~6月4日

 コレクション(収蔵品)から選んだ約100点の作品を通して、日本および世界の20世紀という時代とその美術を再検証する特別展を開催する。2023年4月に名古屋市美術館は開館35周年を迎える。8,000点を超えるまでに成長したコレクションは、「エコール・ド・パリ」「メキシコ・ルネサンス」「現代の美術」「郷土の美術」という4つの収集方針ごとに常設展示室で紹介しているが、本展ではその垣根を取り払い、全出品作品を年代順に紹介する。20世紀の美術は、過去に経験したことがないほどの劇的な様式の変化を体験した。個々の美術作品がもつ時代を超えた普遍性と、制作された時代の社会状況を色濃く映し出す特殊性という二つの側面を普段とは異なる展示手法によって引き出す。

☆常設展 名品コレクションⅠ 2023年4月15日~6月4日

・エコール・ド・パリ:物語と挿絵-シャガール《寓話》より
・メキシコ・ルネサンス:ホセ・ガダルーペ・ポサダ - 生の教訓、死の隠喩
・現代の美術:現代の空間表現
・郷土の美術 星野眞吾生誕100年

特集 開館35周年事業 猛獣画廊壁画修復プロジェクト 2023年4月15日~6月4日

マリー・ローランサンとモード 2023年6月24日〜9月3日

 二つの世界大戦に挟まれた1920年代のパリは、さまざまな才能がジャンルを超えて交錯し、類いまれな果実を生み出した奇跡の空間だった。ともに1883年に生まれたローランサンとシャネルの二人は、大戦後の自由な時代を生きる女性たちの代表ともいえる存在だった。本展では、美術とファッションの境界を交差するように生きた二人の活躍を軸に、ポール・ポワレ、ジャン・コクトー、マン・レイ、マドレーヌ・ヴィオネなど、時代を彩った人々との関係にも触れながら、モダンとクラシックが絶妙に融合する両大戦間パリの芸術界を俯瞰。オランジュリー美術館やマリー・ローランサン美術館など国内外のコレクションから、絵画、ドレス、資料など約90点を紹介する。

福田美蘭ー美術って、なに? 2023年9月23日~11月19日

 中部地方では初となる福田美蘭の個展。福田美蘭は東京藝術大学大学院を修了後、国内外で活躍を続けている。同時代の社会が抱える問題や、古今東西の名画を題材に、固定観念を覆すような鋭い視点で、ときにユーモアを添えて表現する。1980年代から近年までの作品を紹介するとともに、名古屋市美術館の収蔵作品から着想を得た新作も展示する予定。深い洞察力をもって、絵画の可能性を追求し、美術って何だろうと問い掛ける数々の作品は、私たちの思考を刺激し、混沌とした現代を生き抜く知恵とエネルギーを与えてくれる。

☆ガウディとサグラダ・ファミリア展 2023年12月19日〜2024年3月10日

 スペイン、カタルーニャ地方のレウスに生まれ、バルセロナを中心に活動した建築家アントニ・ガウディ(1852-1926年)。バルセロナ市内に点在するカサ・ビセンス、グエル公園、カサ・バッリョ、カサ・ミラ、サグラダ・ファミリアなど世界遺産に登録された建築群は、一度見たら忘れることのできないそのユニークな造形によって世界中の人々を魅了し続けている。今回開催されるガウディ展は、長らく「未完の聖堂」と言われながら、いよいよ完成の時期が視野に収まってきたサグラダ・ファミリアに焦点を絞り、この聖堂に即してガウディの建築思想と造形原理を読み解いていくもの。ガウディ独自の制作方法に注目するとともに、「降誕の正面」を飾る彫像も自ら手掛けるなど建築・彫刻・工芸を融合する総合芸術志向にも光を当て、100 点を超える図面、模型、写真、資料に最新の映像をまじえながらガウディ建築の豊かな世界に迫る。

《金山南ビル美術館棟(旧名古屋ボストン美術館)》

ゴッホ・アライブ 2022年12月10日~2023年3月5日

 真っ暗な広い展示室に設置されたさまざまな大きな壁と床に大迫力の“ゴッホ”が投影される新感覚のゴッホ展。自分が作品に溶け込んでいくかのような感覚を五感で体験できる。体を包み込むような迫力のクラシック音楽が流れる中、ゴッホ作品3000以上の画像が、壁や柱、床など、ありとあらゆる場所に最大40台のプロジェクターで映し出される圧巻の展示である。

☆空間体感!動き出す浮世絵展 NAGOYA 2023年7⽉8⽇〜8⽉28⽇

 葛飾北斎、歌川国芳、歌川広重、喜多川歌麿、東洲斎写楽、歌川国貞など世界的な浮世絵師の作品300点以上をもとに、3DCG アニメーションやプロジェクションマッピングを駆使して大人から子どもまで楽しめるグラフィカルなデジタルアート作品として描き、6 つの立体映像空間で浮世絵の世界に没入できる体感型デジタルアートミュージアム。 事前入場予約不要で会場内は全て撮影OK。時代を超えて世界を魅了し続ける浮世絵の傑作の数々がダイナミックに躍動する期間限定のイマ ーシブ(没入型)展覧会である。

☆「チームラボ 学ぶ!未来の遊園地と、花と共に生きる動物たち」 2023年9月22日〜2023年12月3日

名古屋市博物館

企画展「戦前を生きる~収蔵品が伝えるココロ~」 2023年1月21日~3月5日

 先の大戦が終わることで今の私たちにつながる戦後が始まった。憲法など国の根本やいろいろな常識は違えども、戦前の人々は“当時の当たり前”の中で今の私たち同様、毎日を精一杯生きていた。約半世紀にわたる名古屋市博物館の戦前期の収集品を見つめ、物の向こう側に確かに存在した人々のココロに近づこうと企画された。

特別展 The 名古屋市博物館 豊臣家文書収集と博物館の現在地 2023年4月29日〜6月11日

 名古屋市博物館は、近年、重要文化財 「豊臣家文書」の収集、市民の寄付による資料修復、さまざまな方法による展示や市民と連携したイベントなど多彩な活動を行ってきた。さらに、これからの時代に即した魅力ある博物館になるための計画を進めている。リニューアルのための休館を目前に控えた本展では、「豊臣家文書」をお披露目し、新しい取り組みなどから、名古屋市博物館の現在地と博物館がめざすこれからを紹介する。

☆特別展 水木しげる生誕100周年記念 水木しげるの妖怪 百鬼夜行展 ~お化けたちはこうして生まれた~ 2023年7月15日〜9月24日

 日本を代表する漫画家の一人、水木しげる(1922-2015年)は、妖怪を題材にした作品を多数発表し、妖怪を楽しむ文化を現代日本に定着させた。2022年の生誕100周年を機に企画された本展では、これまで数多く開催されてきた彼の展覧会の中で初めて、その妖怪画創作の裏側に注目する。貴重な本人所蔵の妖怪関連資料や漫画作品の原稿などを公開し、先人たちの築いてきた妖怪世界をリスペクトしつつ、さらに豊かなものに発展させた水木しげるの仕事に迫る。そして、水木しげるが描いた妖怪画の原画が大集合!その細密かつコミカルな筆致と独特の世界観を存分に堪能することができる。

徳川美術館

企画展 徳川文房博 2023年1月4~29日

 中国では、文房(書斎)で用いる道具のうち、特に筆・墨・硯・紙の四つを「文房四宝」と呼び、文人たちは、自らの文房で読書をし、書画を鑑賞。選りすぐりの文房具を愛でた。大名道具でも文房具を欠くことはできない。広間には、主に唐物の文房具が並べられ、執政空間を飾った。本展では、尾張徳川家の伝来品を中心に、大名文化を彩った文房具の魅力に迫る。

特別展 尾張徳川家の雛まつり 2023年2月4日~4月2日

 3月3日の桃の節供に、女の子の健やかな成長と幸せを願う雛まつりは、尾張徳川家でも大切な年中行事のひとつだった。江戸時代から伝来する雛飾りや、明治から昭和にいたる尾張徳川家三世代の当主夫人たちの、高さ2メートル・間口7メートルにおよぶ豪華な大雛段飾りが圧巻である。贅を尽くした尾張徳川家ゆかりの雛飾りを楽しめる。

企画展 読み解き 近世の書状 2023年2月4日~4月2日

 織田信長や豊臣秀吉、徳川家康など、近世に生きた人びとの書状を展示し、興味深い逸話や書き手の人柄、人間関係などを紹介。学校の教科書などではイメージが湧きにくい歴史上の出来事や近世の人びとの心情などを書状の展示を通してより身近に感じることができる。

特別展 大蒔絵展ー漆と金の千年物語 2023年4月15日~5月28日

 漆で絵や文様を描き、それに金粉や銀粉を蒔きつけて装飾を施す蒔絵は、日本文化において和様の美の象徴であり続けている。MOA美術館、三井記念美術館、徳川美術館の3館が共同で開催。平安時代以来の各時代を代表する名品に、現代の人間国宝を加えた選りすぐりの蒔絵を展観する。国宝「源氏物語絵巻」(徳川美術館蔵)をはじめとした物語絵巻や屛風、仏教経典、書跡、能の道具などを合わせて、3館で国宝25件、重要文化財51件を含む計188件を紹介し、日本人が生み出してきた美の系譜をたどる。

☆企画展 能の世界ー神・男・女・狂・鬼ー 2023年4月15日~5月28日

 日本の伝統芸能である能は600年の歴史を刻んだ舞台芸術。能の演目の5つの分類である「神・男・女・狂・鬼」をテーマに、能面・能装束を紹介する。

☆特別展 よそおいの美学 2023年6月3日~7月17日

 江戸時代の大名や夫人たちが、格式に相応しく、立派に、あるいは美麗によそおうために誂えられた衣服や装身具、刀剣・刀装具、美を具現する化粧、そして香りに至るまで、武家の美学を紹介する。

☆企画展 極める! 江戸の鑑定 2023年6月3日~7月17日

 江戸時代には、刀剣や書蹟・絵画など、それぞれの分野で美術品の真贋や価値を評価する鑑定が行われていた。作品と折紙・極札・箱書といった鑑定の証から、鑑定の様相に迫る。 

☆夏季特別展 徳川家康ー天下人への歩みー 2023年7月23日~9月18日

 徳川家康の波乱の生涯を歴史史料などから辿るとともに、駿府御分物(家康の遺産)を中心に、軍事・政治・学問・芸能など、さまざまな側面に焦点を当て、家康像を紐解く。

☆秋季特別展 人間讃歌-江戸の風俗画- 2023年9月24日~11月5日

 戦国の乱世が終わり、泰平の世が到来した江戸時代、現世を謳歌する人々の姿を描いた風俗画が数多く登場した。人を主題とした風俗画の名品を展示し、その普遍的かつ魅力あふれる世界を紹介する。

☆徳川林政史研究所開設100周年記念 特別展 将軍と尾張徳川家-政と儀礼- 2023年11月11日~12月15日

 徳川林政史研究所は、江戸時代の幕政史や尾張藩政史の研究を進めてきた。将軍家と尾張家の関係性の深さに着目しつつ、歴史史料を通して、江戸城や名古屋城における将軍・藩主の公務の実態を紹介する。

☆徳川林政史研究所開設100周年記念 企画展 尾張藩と木曽山-徳川義親のまなざし- 2023年11月11日~12月15日

 徳川美術館の初代館長であり19代当主の徳川義親が、尾張藩が管理・運営した木曽山の研究を志し、徳川林政史研究所を開設して今年で100周年を迎える。義親の木曽山研究の歩みや収集した数々の史料を紹介する。

特別公開 国宝 源氏物語絵巻〈竹河 一・東屋 二〉 2023年11月18~26日

 徳川美術館の至宝であるばかりでなく、わが国の代表的な美術品である国宝「源氏物語絵巻」は、王朝時代の人々の雅びやかな暮らしぶりを余すところなく伝えてくれる現存最古の物語絵巻。毎年11月下旬に、この絵巻から数場面を選んで特別公開をしている。

☆企画展 うるわしの古筆 2024年1月4~28日

 古筆とは狭義には平安・鎌倉時代の貴族がしたためた歌集などを指す。重之集、名家家集切など尾張徳川家伝来品から、寄贈を受けた石山切や関戸本古今和歌集切など、古筆の名品の数々を紹介する。

☆特別展 尾張徳川家の雛まつり 2024年2月3日~4月3日

 江戸時代から伝来する雛人形・雛道具や、明治時代以降の3世代の尾張徳川家当主夫人たちの豪華な大雛段飾りなど、精巧かつ贅を尽くした尾張徳川家ゆかりの雛飾りを紹介する。

☆企画展 ひなを楽しむ -旧家のひな飾り- 2024年2月3日~4月3日

 江戸時代から昭和に至るまでの旧家で飾られたさまざまなお雛さまを紹介する。大名家・尾張徳川家伝来の雛とは趣の異なる、素朴な中に親しみを感じさせてくれる旧家の桃の節供である。

豊田市美術館

ゲルハルト・リヒター展 2022年10月15日~2023年1月29日

 ドイツが生んだ現代アートの巨匠、ゲルハルト・リヒター(1932-)。私たちはどのように世界を捉えているのかー? その条件を問い直すため、リヒターは、具象絵画、抽象絵画、写真(やその上に描いたもの)、ガラスや鏡を用いた作品、映像作品など、実に多岐にわたる制作をしてきた。本展は、1960年代に本格的に活動を開始して以来、世界のアートシーンの最前線を走り続け、その地位を揺るぎないものにしているリヒターの、日本での待望の大規模個展。リヒターが90歳を迎える2022年、作家が大切に手元に残してきた作品群を中心に、60年にわたる画業を紹介する。

コレクション展 反射と反転 2022年10月15日~2023年1月29日

ねこのほそ道 2023年2月25日〜5月21日

 決して飼いならされることなく、野生を保ったまま人間とともに暮らすねこ。なにかの役に立っているわけではないのに飼い主の情緒に豊かに訴える、そんな普通で、変な生きもの。群れをつくらずひとりで狩りをする肉食獣の彼らは、独立心が旺盛で優雅な、家のなかの小さな虎である。これまで人間は多くの種に影響を及ぼし、世界中の動物を絶滅へと追いやってきたが、ねこは長い時間をかけて人間と暮らすようになった。そして、人間が自然を離れて都市を形成し、高層ビルに住むようになると、ねこも一緒に空に上がってきた。ねこはいつも、人工的な環境のなかでも決して手なづけられることのない、小さな自然である。本展では、隙間や内と外を自在に行き来する逸脱可能性として、また言葉の秩序から逃れる不可思議な存在として、自由、野生、ユーモア、ナンセンス溢れる、ねこのような現代美術を紹介する。出品作家は、泉太郎、大田黒衣美、落合多武、岸本清子、佐々木健、五月女哲平、中山英之+砂山太一。

☆吹けば風 2023年6月27日〜9月24日

 本展のタイトルは、明治生まれの詩人・高橋元吉が詠んだ詩の「咲いたら花だった 吹いたら風だった」という一節からきている。それがなにかわかるまでは「なにか得体の知れないもの」でよいと言い、おおらかな気持ちでものごとを見ようとするこの詩人にとって、世界は新鮮な発見に満ちていたかもしれない。本展では、「得体の知れないもの」が花になり風になるように、単なる現象がひとにとって意味をもつ体験になる瞬間に注目する。本展に参加する4名の作家もまた、海や山で見た景色や日々の出来事など、日常的な体験に目を向ける。その作品はどこか確定できない部分があり、いつまでも汲みつくせない魅力を湛えている。たとえば、出展作家のひとり、川角岳大が素潜りやドライブ中の体験を思い出しながら淡く描く絵画は、時間や空間の伸縮や記憶の濃淡を思わせ、わたしたちがなにかを見たり、感じたりするときの身体感覚や心の動きを思い起こさせる。あるいは、ふだんは気に留めないような小さな謎を映画や写真、日常会話のなかに見つけ探っていく澤田華、センサーや風力計を用いて天気を作品に取り込む船川翔司、これまで多くの作品において身体や言葉を用いて、リアルタイムで作品を更新しつづけてきた関川航平も、それぞれの仕方で、ひとがなにかを体験することについて示唆に富む仕事を続けている。

☆コレクション企画「枠と波」Frame and Wave 2023年6月27日〜9月24日

 約100点の作品で、主に1960-70年代の作家たちの斬新な試みを振り返る。1960-70年代は、都市化によって環境が目まぐるしく変わり、社会の制度や枠組みも大きく変化した。写真や映像、音響の録音機器などが個人ユーザーに届くようになった時代である。美術作家たちは、延々と続く高速道路を運転するときに開ける視界、日々目にするものをひたすらに写真に収めていく行為といった、新しくも日常的となった体験を作品へと接続し、目前の景色、文字や言葉、口から発する、あるいは耳にする音を再考しようと試みた。本展では「枠と波」をキーワードに、同館の所蔵作品の中から、言葉や音、日用品や身近な風景を取り込み、見ることや聴くこと、体験することや記憶することそのものを制作へと重ねた作家たちを紹介する。展示作家は、狗巻賢二、ジルベルト・ゾリオ、野村仁、アン・ハミルトン、櫃田伸也、ヨーゼフ・ボイスアリギエロ・ボエッティ、シャルロッテ・ポゼネンスケ、堀尾昭子、松澤宥、三木富雄

☆帝国ホテル二代目本館100周年 フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築 2023年10月21日〜12月24日

 アメリカ近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライト(1867-1959年)。「落水荘(カウフマン邸)」や「グッゲンハイム美術館」で知られるライトは、「帝国ホテル二代目本館」や「自由学園明日館」「山邑太郎左衛門邸(現ヨドコウ迎賓館)」を手がけ、熱烈な浮世絵愛好家としての顔も持つ、日本とゆかりの深い建築家である。2012年には、5万点以上におよぶ図面他資料がフランク・ロイド・ライト財団からニューヨーク近代美術館とコロンビア大学エイヴリー建築美術図書館に移管され、学術調査研究が進められてきた。その成果は、建築にはじまり、芸術、デザイン、著述、造園、教育、技術革新、都市計画に至るライトの広範な視野と知性を浮き彫りにしている。代表作「帝国ホテル二代目本館」完成から100年となる本年、エイヴリー建築美術図書館の全面的な協力のもと、日本で約26年ぶりとなる本格的な回顧展を開催する。世界を横断して活躍したライトのグローバルな視点は、21世紀の今日的な課題と共鳴し、来るべき未来への提言にもなる。

☆未来の驚異の部屋 2024年1月20日〜3月24日

 美術館や博物館の原型とされる、16世紀ヨーロッパで流行した「驚異の部屋(ヴンダーカマー)」には、大航海時代を背景に、絵画や彫刻に加え、動物剝製や植物標本に貝殻、地球儀や天球儀、東洋の陶磁器など、世界中からあらゆる美しいもの、珍しいものが集められていた。「驚異の部屋」は、未だ知らぬ広大な世界を覗き見ることができる、小さいけれど壮大な夢と好奇心を刺激する部屋だった。近年、美術の分野でも、文化人類学的、自然博物学的、歴史研究的手法に基づく、博物学的な作品が多く見られるようになっている。事物や資料を映像や彫刻などとともに編集し、構成するそれらの作品は、収集と展示の背後で作用する力、分類と分析に基づく世界の把握の仕方、また作品や事物の保存・継承と伝統との関りを、現代の課題として照らし出す。本展では、美術館の隣にできる博物館の開館に向け、現在の「驚異の部屋(ヴンダーカマー )」を展開し、美術館・博物館の源流と新たな可能性を探る。それぞれの作品は、歴史はいかに構築されるのか、伝統はどのように交差・変容していくのか、ローカルとグローバルの関係はどうなっていくのかといった、未来に向けた問いを投げかけるだろう。

愛知県陶磁美術館

☆特別展 平安のやきもの―その姿、うつろいゆく 2022年10月29日~2023年1月15日

 8世紀末から12世紀まで約400年間続く平安時代は、古代の日本で最も豊かなやきもの文化が花開いた時代である。平安のやきものは、奈良時代までに発達した技術と造形、それに珍重された金属器や中国陶磁のデザインが融合、さらに仏教文化の変遷のなかで、重層的なデザインの移り変わりをみせた。本展では、緑釉・灰釉陶器という平安時代の二大陶器と、その系譜を引く無釉陶器に焦点を当て、前代の須恵器や金属器、中国陶磁といった関連資料と合わせて変遷や特色を紹介。平安のやきもの400年の魅力に招待する。

特別展 アーツ・アンド・クラフツとデザイン ウィリアム・モリスからフランク・ロイド・ライドまで 2023年1月28日~3月26日

 産業革命後に失われつつあった職人たちの手仕事による制作活動を再生・復興することを目指した英国人デザイナー・ウィリアム・モリス。彼が中心となって提唱したアーツ・アンド・クラフツ運動は、大きな潮流となって、英国のみならず欧米を中心に世界各地へと広がった。本展では、モリスのパターンデザインや書籍のほか、活動に影響を受けた各分野の作家の家具、金工、タイル、ジュエリーなどを幅広く紹介し、アーツ・アンド・クラフツ運動の全容を明らかにする。

特別展/日本工芸会陶芸部会50周年記念展 未来へつなぐ陶芸―伝統工芸のチカラ 2023年4月15日~6月18日

 日本の伝統陶芸の歴史をつくってきた日本工芸会陶芸部会の活動が2022年に50周年を迎える。その陶芸部会の母体となる日本工芸会は、1950年に施行された文化財保護法による「無形」=「技」の保存と活用を目的とした考え方に同調した工芸家たちにより1955年に発足した。その前年となる1954年には、文化財保護委員会の主催で「第1回無形文化財 日本伝統工芸展」が開催され、今日に繋がる日本伝統工芸展の歴史をスタートさせている。本展覧会では、伝統陶芸を支えてきた日本工芸会陶芸部会の活動を振り返りつつ、さらにはこれからの伝統陶芸の歩みを考える機会とし、歴代の人間国宝(陶芸、個人)の代表作から新進作家の最新作までを3部構成で紹介する。

岡崎市美術博物館

☆NHK大河ドラマ特別展「どうする家康」 2023年7月1日〜8月20日

 戦国乱世を駆け抜け、260 年にもおよぶ泰平の世の礎を築いた徳川家康。本展では、彼の生涯において重要なターニングポイントとなった出来事を、全国から厳選を重ねた国宝・重文50 件以上をはじめとした約150 件の優品をとおして紐解く。また織田信長、武田信玄、徳川四天王など、さまざまな形で家康に影響を与えた人物ゆかりの資料も交え、家康が迫られた決断や、人物像を浮き彫りにする。

☆至高の紫 典雅の紅 王朝の色に挑む 2023年9月16日〜11月5日

 古代、染織品は美と富の象徴であり、そのまばゆい色彩が尊ばれた。京都で江戸時代から続く染色工房「染司よしおか」の当主であり染織史家の吉岡常雄・幸雄の親子は、古今東西の染織品と技術を訪ね歩き、自然の染料による日本の伝統色の再現に努めた。その仕事は、特に社寺の祭祀や、古典文学、中でも『源氏物語』にみる装束や色彩の復元として知られている。本展では、あくなき探究心と情熱により現代によみがえった、『源氏物語』にみる装束をはじめとした王朝の色彩を紹介する。

☆138億光年 宇宙の旅―驚異の美しさで迫る宇宙観測のフロンティア 2023年11月19日〜2024年1月8日

 NASA―アメリカ航空宇宙局は、創立から60年あまり、宇宙開発や天体観測の発展を牽引し、多大なる功績を残してきた。本展では、NASAの画像を中心に、観測衛星や惑星探索機、宇宙望遠鏡等がとらえた美しく驚異的な天体写真を選りすぐって紹介。銀河系内の星雲や星団、そしてさらにその先にある無数の銀河や銀河団など、多様な天体の壮大な姿を大型の高品位銀塩写真で見ることができる。サイエンスでありながらアートのごとく見る者を魅了する画像の数々。宇宙の謎や神秘を紐解く、人間の英知や科学技術の発展の素晴らしさを体感できる。

☆レアリスムの視線―戦後具象美術と抽象美術 2024年1月27日〜3月17日

 「具象美術」は具体的な形を表現し、「抽象美術」は形以外の方法で表現する美術である。様式的に両者は対をなしているといえるが、現実を起点とし、現実を表現しようとする点において共通点を見出すことができる。本展は、両者を「レアリスム」という視座で捉えると、どのように見えるのかを試みる。具象美術では、フランス具象画壇を代表するベルナール・ビュフェ(1928-99)や彼が参加した「オム・テモワン」という芸術家グループを中心に取り上げる。抽象美術では、その黎明といえるシュールレアリスムの美術から順に、抽象美術の展開を辿る。

碧南市藤井達吉現代美術館

碧南市制75周年記念事業 開館15周年記念 碧南市藤井達吉現代美術館リニューアル記念展 2023年5月2日~6月25日

 同館では、日本近代美術工芸史において前衛的な活動を展開した藤井達吉の作品や彼の芸術観を軸として、時代や地域性を考慮したコレクションの収集に努めてきた。本展では、新装した展示室等施設や設備を公開するとともに、藤井の作品や資料をはじめ、購入や寄贈によって、これまでに収蔵してきた所蔵品の中から厳選した名品112件を紹介する。

☆生誕160年 清澤満之の世界展 2023年7月7日~8月27日

 明治時代の宗教思想家である清澤満之(1863-1903)の生誕160年、没後120年を記念した展覧会。名古屋に生まれた満之は、東本願寺の僧侶となった後、東京大学哲学科を卒業。京都府尋常中学校長、のち真宗大学初代学監となった。この頃、門下らと東京の浩々洞で求道の共同生活をし、雑誌『精神界』を発行して近代的仏教信仰の確立をめざす「精神主義」を提唱した。本展では、碧南にゆかりがある満之の生涯を、著作や写真、資料等で辿りながら、彼の思想の形成過程を追う。

☆美術と風土-アーティストが触れた伊那谷展 2023年9月5日~10月9日

 信州の伊那谷は、古来より文化の中心であった京都との関係も深く、万葉集をはじめ古代から中世にかけて和歌に詠まれた歌枕の地である。近世には大浜・棚尾村で製造された塩が矢作川水運と中馬により飯田・伊那まで送られており、碧南市とも関わりがあった。本展は、長野県出身及び京阪神・東海地方在住の現代作家20名が伊那谷を訪れ、この地が持つ特有の風土や生活、歴史や文化に実際に触れて得たインスピレーションをもとに制作した作品を一堂に展示する、新しい形の現代美術展である。

☆生誕130年 没後60年を超えて 須田国太郎の芸術 -三つのまなざし- 2023年10月28日~12月17日

 洋画家の須田国太郎(1891₋1961)は、「東西の絵画の綜合」という壮大なテーマを掲げ、日本の精神文化に根差した我が国独自の油彩画を追求し、近代絵画史に偉大な足跡を遺した。28歳でヨーロッパ各地を訪れ、帰国後は独立美術協会会員として意欲作を発表した。本展では、初期から晩年に至る代表作を中心に、須田自身が滞欧中に撮影した写真や、能・狂言に対する造詣の深さを示すデッサンのほか、自ら蒐集したグリコのおもちゃなどを展示し、須田の新たな魅力を検証する。

☆顕神の夢 ―幻視の表現者― 村山槐多、関根正二から現代まで 2024年1月5日~2月25日

 表現者たちは、自己を超えた言い難い「何か」への憧れや思慕から、その「何か」をとらえるべく身を焦がす思いで制作する。それは、宗教の根幹をなす信仰心の発露ともいえる。ときに土俗的な印象を与える作品は、根強く残る心情の証しである。本展は、約140点の絵画・彫刻作品を通して、今までモダニズムの尺度により零れ落ち、十分に評価されなかった作品に光をあてる一方、すでに評価が定まった作品を新たな尺度で測りなおし、それらがもつ豊かな力を再発見する試みである。

一宮市三岸節子記念美術館

☆コレクション展「画家の系譜」 2022年10月22日〜2023年1月23日

☆企画展「安藤正子展 ゆくかは」 2023年7月8日~9月3日

 近年、移住した愛知県瀬戸市で生み出された陶レリーフの作品で、これまでの油彩画や鉛筆画での表現から大きく展開し、新境地を開いた安藤正子。油彩画、鉛筆画、ドローイング、陶作品、インスタレーション等、手法を変化させながらも一貫して「絵」を作り続けてきた歩みを読み解く。

☆こどもミュージアム 2023「おばけのマールと ほしにねがいを」 2023年7月8日~9月3日

 2021年に開催した絵本原画展で一宮でも人気者になった、札幌のご当地絵本「おばけのマール」。星空を見上げながら、マールといっしょにねがいごとをしましょう。新作絵本も発売。

☆特別展 アイヌ工芸品展「AINU ART-モレウのうた」 2023年9月16日~11月19日

 アイヌ文様の特徴のひとつであるモレウ(渦巻き文様)をキーワードに、現代のアイヌアートとともに、先人たちが遺した木彫品や衣服を概観し、多様性とデザイン性に富んだ造形力に注目する。古きものに新しさを発見するほか、現代作家の作品の中にも伝統が息づいていることがわかる。

岐阜県美術館

アーティスト・イン・ミュージアム AiM Vol.13 力石咲 2023年1月21日~3月12日

 13回目となる「アーティスト・イン・ミュージアム」では、「編む」ことをテーマに国内外のプロジェクトに取り組む埼玉県出身のアーティスト、力石咲が公開制作をする。

ー 今回の制作に寄せて ー
 この世から身近な素材である糸しかなくなったら、と空想してみる。
宇宙に漂うチリが集まり地球が生まれたことを慕いながら、私はこの星に眠る残糸を手にとり世界へ漕ぎ出るだろう。私の中に集積したもの、こみあげるものを糸に託し、編みあげ、解く。解いた糸を手にまた歩みだす。世界を旅し、見つめる私。 力石咲

第11回円空大賞展 共鳴-継承と創造- 2023年1月20日〜3月5日

 円空は、江戸時代に美濃国で生まれ、修行僧として全国を行脚しながら生涯に12万体もの神仏像を彫り続けたと伝えられている。岐阜県では、「円空の独創性や慈愛の精神」を注目すべき本県の個性と捉え、平成11年度より土着の伝統に根ざしながら独創的な芸術を創造している芸術家を「円空大賞」として顕彰している。第11回円空大賞展では、円空の生き方を感じさせる5人の現代作家が選ばれた。天然繊維や合成繊維に限らず、和紙、生分解性プラスチックなど様々な素材に注目し、全国各地の職工、染色職人と協力しながらテキスタイルデザインの可能性を追求し続ける須藤玲子(円空大賞)。風倒木や立ち枯れ木を素材とし、それを育てた自然の中で、土地の人々と関りながら滞在制作をし、作品に新たな命を吹き込むDavid Nash。粘土という素材の持つ可塑性とその焼成によって表現される形態の変化に、伝統的な器ではなく、造形的な美を追求する中島晴美。一貫して「人間とは何か」というテーマを追求し、自分自身と向き合う人間の姿を、自身が確立した楠の木彫に大理石の玉眼を埋め込むというスタイルで、表現し続ける舟越桂。「陶」を用いて、氾濫する情報や大量消費商品がゴミに変わっていく現代社会の不安感や恐怖感を訴えるとともに、溶融スラグを素材とし、環境問題にも関心を深める三島喜美代。(以上、円空賞)。第11回円空大賞展では、岐阜県羽島市の円空仏7体と受賞者の作品が響き合う会場構成を試みる。

アートまるケット 知るもしるもシル 2023年1月17日~3月20日

 岐阜県美術館では第8回目となる「アートまるケット」。2015年からスタートした館長日比野克彦のディレクションによる「アートまるケット」は岐阜の言葉で「まみれる」を意味する「まるけ」と「マーケット」に「アート」を結び付け、「アートまみれ」にしようとする企画である。2015年度より3年間は、展示室から庭園へ、次に美術館を飛び出し公園へ、人が自由に集まる場所で魅力を発信した。2019年度は、コロナ禍のためオンライン企画へシフトし、現在も配信し続けている。2022年度は、「知る」をテーマに2組のアーティストL PACK.とplaplaxを迎え、展示室と庭園を使い、リアルへとリスタートするためのプロジェクト。作家たちは県内各地へと赴き、自身の目で、肌で岐阜の姿に触れた。L PACK.は土地にまつわる歴史、文化、民俗、また日々の生活の中で見聞きするあらゆる事象に視線をそそぎ、アート、デザイン、民芸など表現領域にとらわれることなく「風景の一部」となることを目指す。plaplaxは空間、映像、さらには当館所蔵品を組み合わせ、観客参加型=インタラクティブな作品をベースに「うつわ」という言葉・物質の多岐にわたる文化的概念を視覚化し、体感型の作品を設置する。彼らのまなざしを通して現れるハイブリッドな「岐阜のかたち」は、鑑賞者の好奇心をくすぐり、日常の中に、私たちのそばに存在する「アートの力」の意味を再考する機会となるはずである。

☆開館40周年記念 美術館の名品ってナンヤローネ 岐阜県美術館名品尽くし! 
第2部 2022年10月4日~12月25日
第3部 2023年1月5日~3月19日

所蔵品展展示室1 清水九兵衞《CORRESPOND A》 2023年4月1日~9月10日

所蔵品展展示室1 ぎふの日本画 水墨の彩り 2023年4月1日~7月3日

所蔵品展展示室1 ルドンコレクションから 2023年4月1日~6月18日

水彩画ー『みづゑ』とよばれた時代から 2023年4月1日~6月18日

☆所蔵品展展示室2 新収蔵品お披露目展 2023年4月11日~6月18日

☆清流の国ぎふ芸術 Art Award IN THE CUBE 2023 2023年4月22日~6月18日

☆アーティスト・イン・ミュージアム AiM Vol.14 設楽陸 2023年7月中旬〜9月中旬 

☆こぐまちゃんとしろくまちゃん 絵本作家・わかやまけんの世界 2023年7月21日〜9月24日

☆アーティスト・イン・ミュージアム AiM Vol.15 トザキケイコ 2023年10月上旬〜12月上旬

☆IAMAS ARTIST FILE #09 〈方法主義芸術〉—規則・解釈・(反)身体 2023年10月11日〜12月24日 足立智美、中ザワヒデキ、松井茂、三輪眞弘

☆越山若水が育んだ美—福井県立美術館・若狭歴史博物館名品展— 2023年10月14日〜12月3日

☆走泥社再考 前衛陶芸が生まれた時代 2023年12月19日〜2024年2月18日

☆アートまるケット 2024年1月13日〜3月17日

☆クロスアート4  2024年3月29日〜 松山智一、公花、後藤映則、横山奈美、山内祥太ら

岐阜県現代陶芸美術館

開館20周年記念 特別展 愛のヴィクトリアン・ジュエリー 華麗なる英国のライフスタイル 2022年11月26日〜2023年1月29日

 19世紀の英国では、ヴィクトリア女王の時代(1837~1901年)に、ジュエリーが大きな発展を遂げた。本展覧会では国内の個人コレクションに基づき、ヴィクトリア時代の英国王室にまつわる作品をはじめ、アンティーク・ジュエリーの数々を紹介。また、ヴィクトリア時代には、王室を中心に、今日のウェディングの形が完成され、アフタヌーンティーの習慣が定着していった。19世紀の英国でセレモニー用のドレスを飾ったレースの発展や、優雅なアフタヌーンティーで用いられた食器類も紹介する。

開館20周年記念 特別展 超絶技巧、未来へ! 明治工芸とそのDNA 2023年2月11日〜4月9日

 開館20周年を記念し、「超絶技巧」シリーズの第3弾として開く。金属、木、陶磁、漆、ガラスなど、さまざまな素材により、新たな表現領域を探求する現代作家の新作を中心に紹介する。さらに、これらの作家を刺激してやまない清水三年坂美術館蔵や個人蔵の明治工芸の逸品も併せて展示することで、進化し続ける超絶技巧の世界に迫る。孤独な環境の中で、自らに信じられないほどの負荷をかける鍛錬を日々実践している現代作家たちは、明治工芸のDNAを受け継ぎ、超絶技巧の未来を担う存在となる。
 出品作家(現代) 青木美歌[ガラス] 池田晃将[漆工] 稲崎栄利子[陶磁] 岩崎努[木彫] 大竹亮峯[木彫] 蝸牛あや[刺繍] 小坂学[ペーパー] 長谷川清吉[金工] 樋渡賢[漆工] 福田亨[木彫] 本郷真也[金工] 前原冬樹[木彫] 松本涼[木彫] 盛田亜耶[切り絵] 山口英紀[水墨画] 吉田泰一郎[金工] 彦十蒔絵 若宮隆志[漆工]

やきものにうたう:ハンガリー現代陶芸展 2023年4月22日〜7月2日

 南北に流れる大河ドナウと大平原ー豊かな自然に育まれた中欧の国、ハンガリーでは、複雑な歴史をたどったその社会に呼応するようにして、独自の陶芸文化が形成されてきた。現在では、ヨーロッパ随一の陶芸に特化したレジデンス施設(ケチケメート国際陶芸スタジオ)を擁するなど、陶芸文化の活発な地域としても知られる。本展は、ブダペスト国立工芸美術館による学術協力のもと、1960年代以降のハンガリー現代陶芸の流れを、その歴史的背景をふまえ紹介するもの。第二次世界大戦後の社会主義の時代、1989年の民主化を経て現代に至る、激しい社会の変化を経験するなかで、それぞれの方法で表現の道を模索した作家の作品が並ぶ。

☆豊場惺也展 2023年5月16日〜8月27日

☆大地のこどもたち2023 わたしたちのエネルギー 2023年7月29日〜8月27日

☆三島喜美代ー遊ぶ 見つめる 創りだす 2023年9月16日〜11月26日

 三島喜美代(1932年生まれ)は、大阪市と岐阜県土岐市を制作の拠点として活動。陶で雑誌や新聞、ダンボールなどを表現する革新的な作品で知られている。その活動と作品は、陶表現と現代美術の世界にわたって展開されてきた。油絵からスタートした三島は、1960年代には雑誌や新聞紙を画面に切り貼りした、コラージュの平面作品で注目を集めた。そして新聞を陶に転写する表現に取り組み始める。情報化社会や大量消費社会のなかで作られては廃棄される、新聞やチラシ、ゴミを題材とする作品は、ユーモアを含んだ表現であるとともに、現代社会の問題をみつめる三島のまなざしを伝えている。好奇心を原動力としたその創作活動は、90歳を迎えた今、国際的な評価も、ますます高まりをみせている。本展は、三島がみつめ、挑み続ける創作の世界を、初公開作品を含む初期の作品から最新作までを通じて紹介する、過去最大規模の個展となる。

☆フィンランド・グラスアート 輝きと彩りのモダンデザイン 2023年12月16日〜2024年3月3日

☆ムーミンの食卓とコンヴィヴィアル展ー食べること、共に生きることー 2023年12月16日〜2024年3月3日

三重県立美術館

笠岡市立竹喬美術館名品展 小野竹喬 2023年4月22日~6月11日

 自然との素直な対話を通して、詩情豊かな風景を描き続けた小野竹喬(1889-1979年)。西洋の美術や芸術思潮にも学びながら新しい日本画の創造に挑み、京都画壇を代表する画家として活躍した。本展では、竹喬の生地である岡山県の笠岡市立竹喬美術館の所蔵品から、大王町波切を描いた作品を含む代表作や素描を展観、その生涯と作品を紹介する。

☆日根野作三展 2023年7月1日~9月24日

 現在の三重県伊賀市に生まれ、陶磁器デザインの先駆者として知られる日根野作三(1907~1984年)。山茶窯、国立陶磁器試験所で活躍し、戦後に独立すると、東海、関西の陶業地をめぐり、手仕事による近代的な感覚を持つ生活工芸「クラフト」の普及に努めた。本展では、各地に残る作品と資料からその生涯をたどる。

☆宮城県美術館所蔵 絵本原画の世界 2022-23 2023年10月7日~12月10日

 幼少期に上質な美術体験を与える絵本づくりを目指して、福音館書店より1956年に創刊された月刊絵本「こどものとも」。幅広い分野の作家たちがさまざまな技法を取り入れ、自由な表現で絵本制作を手掛けた。本展では、宮城県美術館が所蔵する草創期の原画コレクションから選りすぐった魅力あふれる作家・作品の数々を紹介する。

☆特集展示 生誕100周年 木下富雄展 2023年10月11日~2024年1月8日

 三重県四日市市出身の版画家木下富雄(1923~2014年)の生誕100周年記念展。貴重な初期作品から晩年の作品まで展観し、その作品の変遷をたどり、国内外で高い評価を得た木下の版画作品の魅力に迫る。

☆柳原操基金・柳原義達顕彰事業 Y2 project 藤原康博 2023年11月3日〜2024年2月4日

 三重県出身の藤原康博(1968年生まれ)は、近年評価を高める気鋭の美術家。彫刻家柳原義達(1910~2004年)の遺族の援助により、次代を担う美術家を発信する本プロジェクトでは、藤原が柳原と時代を超えたコラボレーションを試みる。

☆特集展示 矢守一声展 2024年1月10日~3月31日

 三重県津市出身の彫刻家矢守一声(1881~1961年)の特集展示。これまで近代日本の彫刻史の中でほとんど語られてこなかった、知られざる生涯と活動を初めて紹介する。

☆藤島武二没後80年 鹿子木孟郎生誕150年 洋画の青春―明治期・三重の若き画家たち 2024年1月27日~4月14日

 日本で油彩画が普及し始めた頃、のちに近代美術史に名を遺す藤島武二、鹿子木孟郎、赤松麟作らが図画教師として三重に赴任し、それぞれの影響や足跡をこの地に残した。本展では、明治20年代から30年代にかけての日本の油彩画=「洋画」に焦点をあて、三重ゆかりの洋画家たちや当時の三重の美術状況、美術教育について紹介する。

三重県総合博物館

親鸞と高田本山 専修寺国宝からひろがる世界 2023年4月22日~6月18日

高畑勲展 日本のアニメーションに遺したもの 2023年7月8日~9月18日

 アニメーション映画監督・高畑勲(1935~2018)は、現在の三重県伊勢市に生まれ、幼い時期を津市で過ごした。高畑は制作にあたって常に今日的なテーマを模索し、それにふさわしい新しい表現方法を徹底して追求した革新者だった。高畑の創造の軌跡は、戦後の日本のアニメーションの礎を築くとともに、他の制作者にも大きな影響を与えた。本展では、絵を描かない高畑の「演出」というポイントに注目し、多数の未公開資料も紹介しながら、その多面的な作品世界の秘密に迫る。

鳥のひみつ調べ隊! みて・きいて・ふれて 2023年10月7日~12月10日

静岡県立美術館

みる誕生 鴻池朋子展 2022年11月3日〜2023年1月9日

 「『観客はもはや人間だけではない。』人間の視点中心だったこれまでの芸術は、今、地球規模での問題と共に大きな転換期を迎えている」。そう考える現代アーティスト鴻池朋子(1960年生)が、本展では2020年の個展「ちゅうがえり」(ア一ティゾン美術館)で試みた、従来の美術館の仕組みから観客を解放するさまざまな取り組みを、さらに発展させようとする。夏に展示が立ち上がる高松市美術館からバトンを引き継ぎ、アーティストという生き物も、コレクションという物も、風土や風景と共にリレ一し変化していく。

近代の誘惑—日本画の実践 2023年2月18日〜3月26日

 静岡県立美術館のコレクションに個人所蔵の重要作を交え、明治から昭和にかけて描かれた日本画を紹介する。江戸から明治への大変革期、画家たちは、西洋化の激流のただなかで、新しい時代にふさわしい絵画を求めて奮闘した。“日本画”とは、新たに登場した“洋画”に対応する言葉として、この時代に作られたものだ。既存の流派の解体や展覧会制度の導入、需要者層の広がりなど、絵画を取り巻く枠組みは、近代国家としての日本の歩みとともに変化し、再構築されていく。日本画においても、真摯な西洋絵画の学習や、そこから顧みた日本の古典美術の再発見を通して、新たな表現が生み出された。展示は、近代への橋渡しとしての幕末狩野派の作品から始まる。これまであまり注目されてこなかった守旧派にも焦点を当て、日本画家たちによる古典学習の具体的な試みを紹介する。個性を重んじる大正期の多彩な表現を経て、昭和初期の成熟、そして戦中・戦後へ。出品作品を通して、近代という時代が生んだ日本画を読み解く。

光―The Light 2023年2月14日〜4月9日

 光は、ア一ティストに豊かな創作のインスピレ一ションを与えてきた。ダレン・ア一モンドが夜明けの薄明りの光の中で撮影した《Civil Dawn@Mt.Hiei》をはじめ、同館の現代コレクションの中から「光」をキ一ワ一ドに選び出した絵画、立体、写真を紹介する。

☆新収蔵品展 2023年4月11日〜5月21日

センス・オブ・ワンダー:感覚で味わう美術 2023年4月18日〜7月9日

 五感による作品鑑賞の楽しみをコンセプトとする展覧会。多くの芸術作品は視覚による鑑賞を基本とする。本展では、視覚以外の感覚器官(触れる、聴く、 ぐ、味わう)に直接働きかけたり、過去に経験した感覚の記憶を呼び覚ますことや、未経験の事柄を五感で想像することによって、作品の素材、モティーフや主題をより深く味わう鑑賞へと誘う。 作家で海洋生物学者のレイチェル・カーソンは、「センス・オブ・ワンダー(=神秘さや不思議さに目を見はる感性)」によって自然を発見する喜びを、同名のベストセラーで綴った。インターネットとデジタルメディアの普及に伴い、現代では気軽に芸術体験ができるようになった。逆に、本展は、人間がもつ感覚によって、古い西洋画から最新の美術作品まで、静岡県立美術館の多様性に富むコレクションを楽しみながらリアルに体験してもらう。

☆太田正樹コレクション展 2023年5月23日〜7月9日

 同館は、旧清水市(現静岡市)出身の太田正樹氏(1933~2022年)より、個人の資産を県民に提供したいとの考えにもとづき、平成20年度から令和4年度までの15年間に、優れた現代美術作品106件の寄贈をいただいた。この展覧会では、地域の美術館を支える故人の意思を顕彰して、寄贈作品の中から選りすぐりの作品を紹介する。

糸で描く物語刺繍と、絵と、ファッションと。 2023年7月24日〜9月18日

 手仕事の温もりと美しさによって、幅広い層に人気を博している刺繍は、伝統的な装飾品から日用雑貨にいたるまで、さまざまな形で現代の生活に浸透している。本展は、そうした刺繍をめぐるアートを複数の角度から紹介する。東欧の交差路スロヴァキアやトランシルヴァニアの伝統的な衣装やテキスタイル、独特の造形とあざやかな色彩がアーティストにも刺激を与えているイヌイットの壁掛け、さらには、絵本の挿絵として制作されたのびやかな作品から精緻なオートクチュール刺繍まで、多彩な作例がある。

☆美術館のなかの書くこと 2023年7月25日〜9月18日

 近年、書くことはデータが主体となり、非物質的、非個性的になっている。本展では、同館の日本の近現代コレクションを中心に、書作品や文字が書き入れられた絵画作品、箱書きや画家の書簡といった作品・関連資料を紹介し、書かれた文字の豊かさを振り返る。

大大名(スーパースター)の名宝―永青文庫×静岡県美の狩野派展 2023年10月17日〜12月10日

 永青文庫は、大大名・細川家に伝来した作品を擁する美術館で、大名家伝来の作品を保管する美術館・博物館のなかでも屈指のコレクションを有している。永青文庫のコレクションは質量に優れ、その内容は多岐に及んでいるが、狩野派作品の宝庫であることは、あまり知られていない。本展では、永青文庫の狩野派の優品を選りすぐり、同館の狩野派作品を組み合わせて展示することで、狩野派の名品を時系列に辿る。狩野派の主流による名品で成り立つ両館のコレクションを掛け合わせ、狩野派の新たな魅力を発掘する。

☆版画でひもとく聖書と神話 : デューラーからピカソまで 2023年10月17日〜12月10日

 西洋の歴史や文化の根幹を成す聖書とギリシア神話を主題とする版画作品を紹介する。卓越した技術で表現された物語の世界を楽しめる。

天地耕作展(仮) 2024年2月10日〜3月27日

 天地耕作は、旧引佐郡(現浜松市)出身の村上誠、渡の兄弟と山本裕司の3人によって結成されたグループである。1988年から2003年まで活動し、木や縄、石や土などを素材に、野外で大がかりな作品を制作した。自身が所有する土地などで発表していたため、実際に鑑賞した人は限られている知る人ぞ知る存在。表現の根源を見つめる彼らのユニークな試みは、今また注目が集まっている。本展は、天地耕作の軌跡を、写真作品や豊富な資料で辿る、美術館では初となる天地耕作単独による展覧会。さらに、未完となっていた2003年の作品プランを、およそ20年を経て同館裏山で完成させる計画も進んでいる。

☆静岡の現代美術と1980年代 2024年2月10日〜4月7日

 天地耕作展(仮)の関連企画として、同館コレクションから、静岡の現代美術や、1980年代を中心とした同時代のアートシーンを示す作品を紹介する。静岡ではアーティストの自主企画によるさまざまな活動があり、そうした土壌の中で天地耕作は結成された。本展では、天地耕作が活動を開始した当時の美術の動向を振り返る。

静岡市美術館

杉浦非水 時代をひらくデザイン 2022年11月19日〜2023年1月29日

 杉浦非水すぎうらひすい(1876-1965)は日本のモダンデザインの先駆者。明治41(1908)年に三越呉服店に嘱託として入社し同店の看板デザイナーとして活躍するほか、カルピスやヤマサ醤油などの広告やパッケージのデザイン、多くの本の装丁等を手がけた。明快で洗練された非水のデザインは今日もなお色あせぬ魅力を放つ。本展では、東京美術学校時代の写生や、ポスター、図案集といった代表的仕事に加え、彼の創作の原点となるスケッチや、写真、遺愛の品々などを紹介し、その全貌をたどる。

東海道の美 駿河への旅 2023年2月11日〜3月26日

 慶長6(1601)年、徳川家康が東海道に宿駅を設置し、街道が整備されると、東海道図屏風や歌川広重の保永堂版東海道五拾三次など「東海道」を主題にした絵画が広く普及した。一方、東海道は詩書画を好む駿河の文化人たちと上方や江戸の絵師たちとの交友も可能にし、京都の円山応挙一門や江戸の司馬江漢をはじめとする新しい傾向の絵画は、駿河の人々に歓迎された。本展では、描かれた東海道と街道をめぐる絵師たちの往来に注目し、東海道が育んだ駿河の美術や文化を紹介する。

英国キュー王立植物園 おいしいボタニカル・アート 食を彩る植物のものがたり 2023年4月8日〜6月4日

 20万点を超える世界最大規模のボタニカル・アート(植物画)コレクションで知られる英国キュー王立植物園。本展では、同植物園の協力のもと、18-19世紀に描かれた野菜や果物、ハーブやスパイス、お茶などの植物画をはじめ、食卓を飾るティー・セットや当時のレシピ帖ほか資料類など約200点を紹介。新たな植物の発見が英国の食文化にもたらした影響とその発展の歴史をひも解く。観察に基づいた精密な描写と美しさが融合する「おいしい」ボタニカル・アートの世界を、英国の食を彩った植物にまつわる物語とともに楽しめる。

さくらももこ展 2023年6月17日〜8月23日

 国民的まんが・アニメ『ちびまる子ちゃん』の作者として知られ、まんが家だけでなくエッセイスト、作詞家、脚本家と多彩な活動を展開した静岡市清水区(旧清水市)出身のさくらももこ(1965-2018年)。本展では、『ちびまる子ちゃん』や『COJI-COJI』、1984年のまんが家デビュー作『教えてやるんだありがたく思え!』などの原画のほか、ベストセラーのエッセイ『もものかんづめ』の手書き原稿、初展示となる関連原画や愛用品など約300点を紹介する。“描くこと”と“書くこと”を楽しみつくし、季節のうつろいや小さな日常をこよなく愛したさくらももこの全魅力をあますことなく届ける。

佐内正史写真展 静岡詩 2023年7月11日~8月27日

 静岡市出身の写真家・佐内正史(1968-)は、日常の気配をとらえた写真が、同世代から多くの共感を呼び、一躍注目を集めた。2003年には、木村伊兵衛写真賞(第28回)を『MAP』(2002年、佐内正史事務所)で受賞、2008年には自主写真レーベル「対照」を設立し、写真集の刊行を続けている。CMや雑誌での仕事、シンガーソングライター曽我部恵一との音楽ユニット「擬態屋」での発表など、その表現は留まることがない。身の回りの何気ない景色を捉えた佐内の写真は、歴史的な瞬間が記録されているわけでも、特別な意味が含まれているわけでもない。ただ、そこには、ある場所に居合わせ、目の前のものに対峙したという写真家の軌跡が残されているだけである。しかし、こうした平然で、淡々とした瞬間を積み重ねた先に、時間も空間も超えた普遍的な日常性が浮かび上がってくる。佐内の写真に触れると、自分の記憶の奥底に眠っていた風景が鮮やかに立ち現れてくる。美術館での個展が2009年の川崎市岡本太郎美術館ぶりとなる本展では、「静岡詩」というタイトルを掲げ、新たに撮り下ろした写真と、過去に撮影した写真とを織り交ぜて発表する。写真が写真であることの意味や「表現しない写真」を正面から問い続けてきた佐内の眼に、自身が生まれ育った静岡は今どう映る/写るのかーー。

ブルターニュの光と風 2023年9月5日〜10月22日

 フランス最西端、大西洋と英仏海峡の間にせり出すブルターニュ半島。豊かな自然の中で独自の文化が育まれたこの地域は、19世紀以降、多くの画家たちを魅了してきた。本展では、フランス・カンペール美術館の所蔵品を中心に据え、紺碧の海と起伏に富んだ大地が作り出すブルターニュの景色や、ケルト文化に由来する固有の風習、この地にゆかりのある画家たちが探求した多様な芸術表現を紹介する。ブーダン、モネ、ゴーギャン、ドニら45作家による約70点の油彩画・版画・素描を見ることができる。

NHK大河ドラマ特別展 どうする家康 2023年11月3日〜12月13日

 戦乱の世に次々と起こる予期せぬ出来事に逃げることなく答えを出し続け、泰平の世を切り拓いた徳川家康。本展では、家康の生涯において重要なターニングポイントとなった合戦や事件の数々を、関連する絵画や文書を通してひも解く。併せて、武田信玄、織田信長、豊臣秀吉など家康に「どうする?」の決断を迫った人々ゆかりの資料も交えながら、誕生から歿後に東照大権現として祀られるまでの足跡を辿る。甲冑、刀剣をはじめ、駿府で暮らした晩年に愛用した茶道具、文房具、装束なども展観し、家康の真の姿を浮き彫りにする。

高畑勲展―日本のアニメーションに遺したもの 2023年12月27日〜2024年3月31日

 1960年代から半世紀にわたって日本のアニメーションを牽引し続けた高畑勲(1935-2018)。「アルプスの少女ハイジ」や「火垂るの墓」、「かぐや姫の物語」などの監督(演出)を務め、それまで映画化は不可能とされてきた題材や新しい映像表現に次々と挑戦し、国内外の制作者にも大きな影響を与えた。本展では、宮崎駿など高畑作品を支えた制作者によるレイアウトや原画、セル画、背景画とともに、高畑自身による制作ノートや絵コンテなど1300件超の膨大な作品や資料を通して、日本のアニメーションの礎を築いたその足跡をたどる。

《長野県立美術館》

戸谷成雄 彫刻 ある全体として Entity 2022年11月4日~2023年1月29日

 戸谷成雄(1947年、長野県上水内郡小川村出身)は、日本の現代彫刻を代表する存在として、「彫刻とはなにか」を問う根源的な思索を深めながら、精力的に作品を発表している。長野県での初めての個展となる本展では、戸谷成雄の初期から近年の作品まで代表作を含め約30点を、展覧会のコンセプトに合わせ、制作年に関係なく展示する。その壮大な彫刻観への糸口として、「表面」や「構造」といった独自の彫刻概念に、日本語の言語構造への深い思索が反映されていることに焦点を当てる。この思索は、戸谷自身の言葉にしばしば表明されてきたが、作品を目の前に語られる機会はあまり多くなかった。日本の社会について戸谷が常に抱く問題意識は、言語学や人類学の方法論を用いて社会の構造のありかたを問うという、世界的な思想の流れに合致し、彫刻家自身の彫刻概念と共振した。1980年代半ばから始められた「森」シリーズに見られるように、チェーンソーで木材の表面を刻んだ大型の木彫作品がよく知られているが、作品の基本的な考え方は、戸谷が彫刻家を志した1970年代に既に形成された。当時、国内外で展開されていた現代美術では、旧来の絵画や彫刻が事実上否定され、美術そのものの在り方が問われていた。戸谷はいわゆる制度として解体された彫刻を、時代や地域の枠を乗り越え、その起源から見つめ直している。

発見された日本の風景 2023年2月11日~4月9日

 日本が近代化を図る激動の「明治」。西洋諸国の制度や価値観と向き合い、世界を強く意識する時代の波は、美術の世界にも押し寄せた。日本を訪れた外国人画家たちは、西洋とは異なる日本の文化や風俗に興味を抱き、その様子を描く。また、国内では水彩画が流行し、日本人画家たちも旅をし、各地の風景や暮らしを描きとめた。本展では、コレクターの高野光正氏が海外で収集した200点を超える水彩画や油彩画によって、当時の国内外の画家たちが発見したかつての日本の姿を紹介する。

☆超絶技巧、未来へ! 明治工芸とそのDNA 2023年4月22日~6月18日

☆【前期】葛飾北斎と3つの信濃―小布施・諏訪・松本― 2023年7月1~30日

☆【後期】葛飾北斎と3つの信濃―小布施・諏訪・松本― 2023年8月3~27日

☆とびたつとき―池田満寿夫とデモクラートの作家 2023年9月9日~11月5日

☆庵野秀明展 2023年11月25日~2024年2月18日

☆春陽会誕生100年 それぞれの闘い 岸田劉生、中川一政から岡鹿之助へ 2024年3月16日~5月12日

松本市美術館

企画展 映画監督 山崎貴の世界 2023年7月15日〜 10月29日

須藤康花 ―光と闇の記憶― 2023年12月9日〜2024年3月24日

セゾン現代美術館

荒川修作+マドリン・ギンズ《意味のメカニズム》 全作品127点一挙公開 少し遠くへ行ってみよう 2023年4月22日10月31日

金沢21世紀美術館

☆時を超えるイヴ・クラインの想像力 ―不確かさと非物質的なるもの  2022年10月1日~2023年3月5日

 1950年代から60年代に活躍したフランスのアーティスト、イヴ・クラインを中心に、イタリアの空間主義運動や 日本の具体などの同時代の作家、さらに現代の作家を加えて、彼らの芸術に共通する「非物質性」というテーマを浮かび上がらせる。荒廃した戦後の「タブラ・ラサ(空虚)」ともいえる状況から、イヴ・クラインは新しい人間性を探求する作家として、彗星のごとく登場した。作品の素材や支持体のみに依存しない、芸術の「脱物質化」を徹底的に推し進め、同時代のアーティストのみならず後世の作家たちにも多大な影響を与えている。現代の私たちは、気候変動 やウイルス、インターネットによる情報環境が生みだす混乱など、無数の「見えないもの」に影響を受け、その実体が見 えない不確かさの中で、多くの厄災や分断と向き合っている。イヴ・クラインを中心とした革新的な芸 術家たちの「非物質性」を志向する創造的探求は、今の私たちが向き合う不確かな現在を乗り越える想像力を与えてくれる。

☆コレクション展2 Sea Lane – 島々への接続 2022年11月3日~2023年3月19日

 テーマは「沖縄と海を繋ぐ島々」。収蔵作品を中心 に、海洋で繫がるさまざまな地域で生まれた作品の中から、自然や文化の成り立ちの多様性に着目する。海は島と島を繋ぐ「道」として、互いの地域に影響関係をもたらしてきた。 島々で育まれた多様性と、海洋を巡る歴史的背景による他地域からの影響に目を向けた作品を紹介する。

コレクション展1 それは知っている:形が精神になるとき 2023年4月8日~11月5日

 形と精神の関係は、普遍的な問いとして、古来より芸術作品を通して探求され続けてきた。目に見える、見えないを問わず、自然、社会、言葉、夢といった私たちの世界の至る所にあるさまざまな形のパターン。私たちは日々、形同士の関係やパターンの結び付きからおのずと生じる、個人の心よりも大きなシステムとしての精神をどこかで感じている。本展では、60年代から近年の作品まで、絵画、彫刻、写真、映像、インスタレーションといった多様な同館
コレクション作品から、様々な形の関係が知っている精神のプロセスに迫る。

虚影蜃光 - Shell of Phantom Light 2023年4月8日~9月18日

 金沢美術工芸大学と金沢卯辰山工芸工房で漆芸の技術を磨いた池田晃将は、伝統的な工芸に見られる器型で、近未来的な世界観を体現する作品を発表している。幼少期から親しんできた漫画、アニメーション、ゲームなどから着想を得た螺鈿の構造色を活かした作品には、ホログラムのような立体感と電気信号が高速で移動するような疾走感がある。本展のタイトルにある光と影は自然界を生きる貝のもたらす妖しい輝きと黒の漆のコントラストから生まれる作風を、生物工学的なイメージやデザインワークまで拡張できると捉えたものである。

アペルト18 顧剣亨 陰/残像 2023年4月8日~9月18日

 顧剣亨は1994年京都生まれ、上海育ち。「デジタルウィービング」という複数の写真の時空間を編み込む独自の手法によって、まるで織物のような写真作品を生み出し、イメージの背後に潜在している文脈を表現する。本展では、中国・福建省の原始林や沖縄のやんばるなどの各地の森を高解像度カメラで撮影した大型の新作シリーズを紹介する。人間には処理しきれないイメージの密度を持つ顧の作品は、パンデミック以降ますます加速する大量の視覚情報の中でまひしている現代の鑑賞者の感性に、自然の持つ多時間性・多言語性・多場所性を通して、変化をもたらすで
あろう。

アレックス・ダ・コルテ 新鮮な地獄 2023年4月29日~9月18日

 アレックス・ダ・コルテ(1980年カムデン/ニュージャージー州生まれ、フィラデルフィア/ペンシルベニア州、米国在住)は、「イメージの作られ方、認識のされ方」、またその延長にある記憶の作られ方について探求している作家。我々がスクリーンやモニターを通して「見ているものは、いったい何なのか。またそれはどのように理解されるのか」、さらには現代社会の消費文化を定義するようになった欲望と記憶と知覚の関係にも踏み込み、私たちを「氾濫するイメージがもたらすものは何か」といった問いに向き合わせている。日本で初めての個展となる今回は、なじみのキャラクターやアイコンに彩られる遊び心のあるポップでバーチャルなイメージと、現実の陰鬱さや寂寥感が共存する不思議な魅力にあふれた映像作品を中心に紹介する。

☆D X P (デジタル・トランスフォーメーション・プラネット)―次のインターフェースへ(仮題) 2023年10月7日~2024年3月17日

 デジタルテクノロジーによって、この地球という惑星、そこに住む「私たち」の生き方や感性はどのように変わっていくのだろうか。20世紀から繰り返されてきたこの問いに対して2023年、いままでとは全く違った惑星の姿が出現しようとしている。人新世と呼ばれ、見えないネットワークやAIによるコントロールに浸されたこの惑星DXPでは、テクノロジーと生物との関係が日々新たに生成されている。また、DXPは、アーティスト、建築家、科学者、プログラマーなどが集い、領域横断的に、この変容を捉え、今起こっていることを理解し、それを感じられるものとして提案する展覧会/インターフェースでもある。注目のテクノロジーであるAI、メタバースやバイオテクによる現代のリアル、そしてそれに続く未来のヴィジョンとしてのDXPは衣食住も含めた総合的な生き方の可能性を探求する。

☆コレクション展2 電気-音 2023年11月18日~2024年5月12日

 現代の私たちは、自然の環境音から人工の電子音まで、あらゆる「音/サウンド」と共に生きています。音というメディアは、「聞く・聴く」だけではない「身体」の知覚を通して、私たち人間と世界をリミックスする力を持っている。今こそサウンドは、過剰な情報によって分断された私たちをつなぎ直し、この世界と私たちとの関係を再編する
ことができるのではないだろうか。本展は、カールステン・ニコライによるノイズを含むあらゆる音を録音、集積し、世界の複雑さとつながりを見せる《リアリスティック》を起点に、「聴覚でとらえる空気の震え」だけではないサウンドの可能性を模索する。 

国立工芸館

☆所蔵作品展 工芸館と旅する世界展―外国の工芸とデザインを中心に 2022年12月20日~2023年2月26日

 国立工芸館では、国内の工芸作品のみならず、世界各国の工芸家やデザイナーの作品も収集し、さまざまな展覧会を開催してきた。コレクションのうち、外国人作家の作品は工芸作品が約180点、デザイン作品が約300点におよぶ。本展では、これまでまとめて展示する機会の少なかった海外作家による作品を中心に紹介する。工芸やデザイン、それを生み出す場所の歴史や風土との関わりにも目を向ける機会となる。作品を通して、工芸とデザインをめぐる世界旅行に出かけてみませんか?

ポケモン×工芸展―美とわざの大発見― 2023年3月21日~6月11日

 ポケモンと工芸、正面切って出会わせたとしたら、どんな 「 かがく反応 」 が起きるだろう 。この問いに人間国宝から若手まで 20名のアーティストが本気で挑んだ。一見、意外な組み合わせだが、この2者、共通項が少なくない。たとえば、工芸の原材料や製造工程のエネルギーを挙げてみれば土や草、金属、水に炎に電気など、そのままポケモンのタイプといっても通用するかのよう。さらには、わざを磨いたり、育てたり、収集や交換といったシステムも工芸にかける作り手や愛好者の想いと重なるところが多そうだ。ポケモンの姿かたちから、しぐさ、気配までを呼び起こす作品。進化や通信、旅の舞台、効果抜群のわざなど、ゲームの記憶をたどる作品。そして、日々を彩る器、着物や帯留など、粋な装いに誘い込まれたポケモンたち。会場で皆さんを待ち構える作品との出会いははたして…ワクワク、うっとり、ニヤニヤそれともゾクッ? かけ算パワーで増幅した美とわざの発見を楽しめそうだ。

☆水のいろ、水のかたち展 2023年7月7日~9月24日

 「水」をテーマに、工芸、デザイン作品に表現された水、水をいれる器に注目した。水は多くの作家に着想を与え、さまざまな色や形、技で表現されてきた。蒔絵で描かれた波紋や、急流を感じさせる竹の編み方、鮮やかに染めた水辺の景色など、とらえどころのないものだからこそ作家の観察眼や個性が表れる。

第38回国民文化祭 第23回全国障害者芸術・文化祭 いしかわ百万石文化祭 2023 「皇居三の丸尚蔵館収蔵品展 皇室と石川ー麗しき美の煌めきー」 2023年10月14日~11月26日

 石川県立美術館と国立工芸館は今秋、国民文化祭の開催に合わせ、皇室ゆかりの美術工芸品などを収蔵・展示する宮内庁三の丸尚蔵館(10月1日より「皇居三の丸尚蔵館」に改称)の収蔵品による展覧会を開催する。展覧会では、旧加賀藩主前田家から皇室への献上品や石川出身の帝室技芸員や人間国宝による作品など、石川ゆかりの作品にくわえ、皇室に伝わった名宝や名刀など、総計約120点を多彩な構成で展示。石川県立美術館と国立工芸館が共同で開催する初の展覧会となる。第1会場の石川県立美術館では、絵画や彫刻、書跡、刀剣を、第2会場の国立工芸館では、工芸を展示する。

☆印刷/版画/グラフィックデザインの断層 1957-1979 2023年12月19日~2024年3月3日

 マス・コミュニケーション時代が到来した戦後の日本では、印刷技術が飛躍的に発展し、版画とデザインの関係性がとりわけ議論の対象になった。本展では、1957年から1979年まで全11回にわたって開催された「東京国際版画ビエンナーレ展」に焦点をあて、版画とグラフィックデザインが交錯した時代の様相を紹介する。

☆卒寿記念 人間国宝 鈴木藏 展(仮称) 2024年3月19日~2024年6月2日

 重要無形文化財「志野」の保持者(人間国宝)、鈴木藏(1934年生まれ)の作陶の軌跡と “今”を紹介する。鈴木は、薪窯でしか焼けないとされていた「志野」にガス窯で挑戦し、 伝統を大切にしながらも独自のスタイルを確立した。2024年に卒寿を迎えるのを機に、初期から最新作までの優品を展示する。

奥能登国際芸術祭2023

奥能登国際芸術祭2023 2023年9月23日〜11月12日 会場:石川県珠洲市全域 

富山県美術館

富山県美術館開館5周年記念 デザインスコープ―のぞく ふしぎ きづく ふしぎ 2022年12月10日~2023年3月5日

 はるか遠くの星々を観測できる望遠鏡(telescope)、微生物や細胞を観察できる顕微鏡(microscope)。人間はさまざまなレンズを用いた器具を使うことで、自らが認識できる世界を拡張し、新たな技術や価値観を生み出してきた。本展では、「デザイン」というレンズを通した視点を「デザインスコープ(design-scope)」と名付けた。現在、第一線で活躍するデザイナーやアーティストと対話を重ね、これからデザインがどのような提案をすることが可能なのか、デザインとアートが限りなく近づく現在の状況をミクロ/マクロの視点から俯瞰する。本展のために新たに制作された作品や、音や映像などを用いた、空間全体を楽しむことができる展示を通して、デザインとアートの持つ創造的なエネルギーを体感し、楽しさや驚き、次世代に向けた可能性を発信する。

富山県美術館開館5周年記念 生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ 2023年3月18日~5月21日

 「世界のムナカタ」として国際的な評価を得た版画家・棟方志功(1903-1975年)。その作品は、今なお根強い人気を誇る。棟方が居住し、あるいは創作の拠点とした青森、東京、富山の3つの地域は、それぞれに芸術家としての棟方の形成に大きな影響を与えた。福光町(現富山県南砺市)には、1945年4月に疎開。6年8カ月間を過ごし、版画や倭画(肉筆画)の重要作を制作するなど、創作活動の転機となった。棟方の生誕120年を記念して、各地域の美術館(富山県美術館、青森県立美術館、東京国立近代美術館)が協力して開催する本展では、棟方と各地域の関わりを軸に、棟方の多岐に渡る活動を紹介。棟方志功とはいかなる芸術家であったのかを再考する。

富山新聞創刊100年記念「前衛」写真の精神:なんでもないものの変容 ―瀧口修造・阿部展也・大辻清司・牛腸茂雄 2023年6月3日~7月17日

 日本の写真史において前衛写真は、シュルレアリスムと抽象主義の影響を受けて1930年代に台頭した。1938年には「前衛写真協会」が結成され、その中心人物の瀧口修造は、写真の本質である記録性を重視し、技巧に走りつつあった当時の傾向に警鐘を鳴らし、超現実主義は「日常現実のふかい襞のかげに秘んでいる美を見出すこと」であると主張した。一緒に協会を立ち上げた阿部展也は、瀧口に共鳴し、オブジェや風景の写真を発表。2人の影響を強く受けた大辻清司は、「なんでもない写真」と題したシリーズを手掛ける。大辻の愛弟子の牛腸茂雄は、技巧に凝らず日常を誇張なしに撮影した「コンポラ写真」の代表的な一人として注目された。本展は、1930年代の前衛写真から1980年代への展開のなかに連綿と流れてきた瀧口の思想の様相を、4人の作品や資料を中心に、ウジェーヌ・アジェ、マン・レイなど関連作家の作品を加えて紹介する。

大竹伸朗展 2023年8月5日~9月18日

 本展は、高度経済成長期の東京に生まれ育った大竹伸朗の軌跡を7つのテーマ――「自/他」「記憶」「時間」「移行」「夢/網膜」「層」「音」――に基づいて読み解く回顧展。大竹伸朗(1955-)は、1980年代初めに華々しくデビューして以来、絵画、版画、素描、彫刻、映像、絵本、音、エッセイ、インスタレーション、巨大な建造物に至るまで、猛々しい創作意欲でおびただしい数の仕事を手掛け、トップランナーであり続けてきた。近年ではドクメンタ(2012・ドイツ)とヴェネチア・ビエンナーレ(2013・イタリア)の二大国際展に参加するなど、現代日本を代表するアーティストとして海外でも評価を得ている。 2006年に開催された「全景 1955―2006」以来の大規模な回顧展となる本展では、国際展に出品した作品を含むおよそ500点を7つのテーマに基づいて構成する。作者が「既にそこにあるもの」と呼ぶテーマのもとに半世紀近く持続してきた制作の軌跡を辿るとともに、時代順にこだわることなく作品世界に没入できる展示によって、走り続ける強烈な個性の脳内をめぐるような機会となる。

☆金曜ロードショーとジブリ展 2023年10月7日~2024年1月28日

☆倉俣史朗のデザイン-記憶のなかの小宇宙 2024年2月17日~4月7日

滋賀県立美術館

企画展 川内倫子:M/E 球体の上 無限の連なり 2023年1月21日〜3月26日

 写真家、川内倫子は1972 年に滋賀県で生まれ、2001年のデビュー以降、精力的に活動してきた。柔らかい光をはらんだ独特の淡い色調を特徴とし、人間や動物、あらゆる生命がもつ神秘や輝き、儚さ、力強さが写された川内の作品は、国内外で高く評価されている。本展では、川内がこれまで発表したシリーズを織り交ぜつつ、地球との繋がりをテーマとする新しいシリーズの「M/E」に、コロナ禍における日常を撮影した新作群を加えて紹介する。

特集展示「川内倫子と滋賀」 2023年1月11日〜5月7日

 企画展「川内倫子:M/E 球体の上 無限の連なり」の開催に合わせ、2021年に同館のリニューアルオープンのために撮り下ろされた写真を中心にして再構成した作品や、川内が13年にわたって家族を撮り続けた〈Cui Cui〉(2005)、そして、滋賀県甲賀市にある福祉施設「やまなみ工房」を撮影したシリーズ〈やまなみ〉(2022)など、川内の作品の中でも特に滋賀との関わりの深いものを特集展示する。

小倉遊亀と日本美術院の画家たち展 横山大観、菱田春草、安田靫彦、前田青邨、速水御舟ほか 2023年4月29日〜6月18日

 1984年(昭和59)に開館した滋賀県立美術館(当時は滋賀県立近代美術館)は、2024年(令和6)に40周年を迎える。これを記念して、同館のコレクション形成に大きく尽力した小倉遊亀を一望する展覧会を開催する。初期から晩年にわたる同館所蔵品を中心に、各地で収蔵されている代表作や、アトリエに残された下絵や原稿などの資料も加えて展示する。遊亀が作品を発表したのは、横山大観や菱田春草らが東京で興した日本美術院である。同館は「日本美術院を中心とした近代日本画」を収集方針のひとつに定め、関西圏にありながら、日本美術院に注目するという、独自のスタンスによって、独自性と厚みのあるコレクションを実現した。そこには、遊亀に影響を与えた、師の安田靫彦や先輩の速水御舟らの作品も含まれる。遊亀の作品には、理知的な造形に相反するようなぬくもりが感じられる。対象を構想や概念で捉えるのではなく、本質を見る遊亀の目がそこにある。

☆今森光彦 里山 水の匂いのするところ」 2023年7月8日〜9月18日

 滋賀県大津市出身の写真家・今森光彦は、長年にわたり撮り続けてきた滋賀の里山を通して、水の循環に着目した。撮影の中で出会った水の匂いに、自身の原風景を思い出したという今森は、里山における水の循環を、生命の循環とともに写しとっている。水は奥山から人々の住処を流れ、琵琶湖へと戻り、大気を通して再び大地へと還ってゆく。里山に宿る多様な生態系と、その土壌となっている豊かな環境は、私たちの忘れてしまった原風景を、水の匂いとともに思い出させてくれるかもしれない。

☆みかた”の多い美術館展 さわる知る 読む聞くあそぶ はなしあう 「うーん」と悩む 自分でつくる! 2023年10月7日〜11月19日

 この展覧会では、作品をみることや、美術館で過ごすことの可能性を広げることを、狙いとしている。そのために、小さな子どものいる家族や視覚に障害のある方、外国にルーツのある方など、様々な方々と一緒にアイデアを出し合った。話し合いの結果、さわったり、はなしあったり、写真を撮ったり、などなど、ちょっとかわった8つの“みかた”が生まれた。見るだけではない、いろいろな作品との出会いを楽しめる。
 出品作家:今井祝雄、鵜飼結⼀朗、岡本⾼幸、ワシリー・カンディンスキー、神⼭清⼦、澤⽥真⼀、⽥代雄⼀、⽥中敦⼦、塔本シスコ、藤岡祐機、前川紘⼠、松井利夫、百瀬⽂、⼭⼝晃、若林孝典、渡辺泰幸 ほか。

佐川美術館

☆平山郁夫 日本文化の源流 2022年11月8日~2023年3月31日

☆佐藤忠良 彫刻家の眼 2022年12月7日~2023年3月31日

☆樂直入展 守破離の彼方 2023年3月16日~9月18日

☆生誕100年 山下清展 -百年目の大回想 2023年4月8日~6月11日

 ”放浪の天才画家”と言われた山下清(1922-71年)。18歳で放浪の旅を始め創作を続けるなか、31歳の時、アメリカのグラフ誌がその画才に注目し、脚光を浴びるようになった。その後、「今年の花火見物はどこに行こうかな」の言葉を最後に49歳で生涯を閉じるまで、「日本の原風景」として人々に愛され続けてきた貼絵など、多岐にわたる作品を手掛けた。本展では、貼絵や油彩、水彩画、ペン画、陶磁器とともに1961年のヨーロッパ旅行に持参したスケッチブックの中から初公開の習作を含めた約190点を展観。山下芸術の新たな側面を発見するとともに、「百年目の大回想」という名にふさわしく、生誕百年を迎えた山下清の生涯にわたる創作活動を振り返る。

☆ガウディとサグラダ・ファミリア展 2023年9月30日〜12月3日

☆エッシャー 不思議のヒミツ 2023年12月14日~2024年2月25日

 私たちの周りには「不思議」なものがあふれ、そのヒミツを解き明かそうと、日々頭を働かせている。中でも、今なお多くの人々を魅了し続けているのが、オランダの版画家M.C.エッシャー(1898-1972)が手掛けた作品である。本展では、エッシャーの初期から代表作に至るまで、150点を超える作品を展示。今日のトリックアートブームを牽引してきたその画業の全容を紹介し、不思議のヒミツに迫っていく。また、作品の面白さを更に実感するために、錯視や視覚の原理を利用した体験コーナーも合わせて紹介。トリックの面白さを実体験することで、エッシャーの世界観をより深く感じることができる。

MIHO MUSEUM

春季特別展 美の祈り Universal Symphony 2023年3月18日〜6月11日

☆夏季特別展 蒔絵百花繚乱 江戸時代の名工とその系譜 2023年7月15日〜8月20日

秋季特別展「金峯山の遺宝と神仏」 2023年9月16日~12月10日

 古代より修験道の聖域とされてきた奈良県吉野の金峯山を参詣した平安貴族の「御嶽詣」に伴う金峯山経塚の出土品を一堂に展示。藤原道長の金峯山参詣を端緒とする平安貴族の盛んな「御嶽詣」に伴う埋経は、金峯山経塚遺物として今日に伝わっている。新たに確認された遺物も含む金峯山出土遺物から、平安貴族の金峯山への信仰と憧憬の一端を紹介する。

滋賀県立陶芸の森

湯呑茶碗~日本人がこよなく愛したやきもの~ 2023年3月11日~6月25日

 湯呑茶碗は日本人に最も親しみのある「やきもの」である。家庭や職場など生活のさまざまな場面で用いられる、個人用の湯呑茶碗や夫婦茶碗の存在は、日本独特の器文化といえる。とくに明治時代末期から昭和時代前期には、日本人が最もやきものに親しんだ時代である。日本各地の名所や名物を、多彩な技法や技術を用いて表現した、その小さな器には当時の名工や作家の技とこだわりが凝縮されている。本展では、陶芸の森「坂口恭逸湯呑コレクション」から日本人がこよなく愛した湯呑茶碗の魅力に迫る。

特別展「岡本太郎 アートの夢-陶壁・陶板・21世紀のフィギュア造形」 ~大衆にじかにぶつかる芸術を~ 2023年7月15日~12月17日

芸術家・岡本太郎は、「一般大衆にじかにぶつかる、社会に開かれた芸術を実現したい」 と記し、1952年に初めてのパブリックアートとなるモザイクタイルを手掛けた。1954年には、量産を目指し粘土で≪犬の植木鉢≫を常滑で制作、その後、刈谷でも類似の造形を手掛けた。1963年に信楽で制作された≪坐ることを拒否する椅子≫は、人と直に触れ合うアートの在り方を探り、代表作として全国に多数存在している。戦後、建築家・デザイナー・芸術家による建築陶器が人とアートとの結びつきを強めていく中、岡本太郎が信楽で手掛けた日本万国博覧会 (大阪万博) の ≪太陽の塔≫ の <黒い太陽> (1979年)は、多くの人々の記憶に刻まれている。このように産地と岡本太郎の出会いの中で培われた技術力は、大塚オーミ陶業株式会社の大型陶板などに受け継がれる。また、岡本太郎は絵画に比べ「彫刻はより肉体的であり、直接的である。実体がそこにある彫刻の強さ。」と記している。アニメ・マンガのキャラクター造形は21世紀の大衆が求めたアートのひとつである。 クリエイターらの世界観を再現した高精度なフィギュアが生まれている。本展覧会では、〈芸術の大衆化〉 をテーマに、近代の建築装飾陶器、パブリックアートや量産品のデザインを手掛けた岡本太郎らの作品を紹介。またフィギュア造形の世界や壁画の可能性を併せて取り上げつつ、岡本太郎が思い描いた夢の先、21世紀アートの息吹を見つめる。

京都国立近代美術館

開館60周年記念甲斐荘楠音の全貌―絵画、演劇、映画を越境する個性 2023年2月11日~4月9日

 大正から昭和にかけて京都で活躍した日本画家、甲斐荘(または甲斐庄)楠音(1894-197年年)。国画創作協会で彼が発表した作品は美醜を併せ吞んだ人間の生を描いて注目を集めたが、やがて映画界に転身。風俗考証等で活躍したこともあって、その画業が充分には顧みられない時期が続いた。1997年、同館で開催された「甲斐庄楠音展」は彼の画業について再評価を促したが、その際、映画人としての側面については大きく取り上げることがなかった。今回は、彼が手がけた時代劇衣裳が太秦で近年再発見されたのを受け、映画人、演劇人としての側面を含めた彼の全体像を展観する。

☆Re: スタートライン 1963-1970/2023 現代美術の動向展シリーズにみる美術館とアーティストの共感関係 2023年4月28日〜7月2日

 「現代美術の動向」展は、京都国立近代美術館が開館した1963年から 1970年まで毎年開催された定点観測的なグループ展シリーズである。国公立の美術館がまだ少なかった1960年代当時、日本の現代美術の中堅・若手作家を紹介する展覧会として大きな注目を集めた。全9 回におよぶ「動向」展が取り上げた作家・作品は、素材や形式も実にさまざまだ。高度経済成長期を迎えた1960年代は、社会や人々の生活の変化を背景に、絵画や彫刻といった既成の区分の逸脱と、形式・素材の多様化が進み、美術の概念そのものを刷新する動きが活発化した時代でもあった。抽象絵画、ネオ・ダダ、ポップ、キネティック、コンセプチュアル、ハプニング、もの派など、今日の「現代美術」の表現言語の多くは、まさにこの時期に生み出された。「動向」展は、美術館がこうした目まぐるしく変貌する美術の状況と向き合い、若い世代のアーティストや鑑賞者との共感にもとづく実験場となるべく創始された。美術館の建物を用いたその場限りのインスタレーションやハプニングなど、関係者の記憶や記録写真だけが頼りの作品も少なくない。今回の展覧会では、293組の出品作家の中から、62組による主な出品作もしくは関連作、記録写真、展覧会に関するアーカイヴ資料を紹介しながら、1960 年代当時の美術館とアーティストが切り結んだ美術の現場のスタートラインを検証する。

☆開館60周年記念 走泥社再考 前衛陶芸が生まれた時代 2023年7月19日~9月24日

 1948年に八木一夫、叶哲夫、山田光、松井美介、鈴木治の5人で結成された走泥社は、その後、会員の入れ替わりを経ながら50年間にわたり日本の陶芸界を牽引してきた。しかし、50年という走泥社の活動期間全体を見渡したとき、日本陶芸界におけるその重要性は特に前半期にある。本展は、走泥社結成25年となる1973年までを主な対象とし、走泥社と同時期に前衛陶芸を展開した四耕会の作品なども合わせて展示することで、日本の前衛陶芸が確立していくうえで中心的な役割を果たした走泥社の活動の意味を再検証するものである。約180点の作品および関連資料を通じて、走泥社における「前衛陶芸」の展開を紹介する。

開館60周年記念京都画壇の青春―栖鳳、松園につづく新世代たち 2023年10月13日〜12月10日

 京都の明治以降の美術界の歴史は、東京や西欧との対峙の歴史と言っても過言ではない。開館60周年を記念して開催する今展では、その中でも特に明治末~昭和初期を近代京都画壇の青春時代ととらえ、土田麦僊(1887~1936)を中心に据え、小野竹喬、榊原紫峰、岡本神草などの代表作約80点を4章に分けて展示する。まさに青春時代と重なった画家だけでなく、上村松園、菊池契月、木島桜谷といった先輩作家達や師匠の竹内栖鳳も含んで一丸となり、東京、西欧、そして京都の伝統に挑んだ彼らの、青春時代特有の過剰さと繊細さとをあわせもつ、完成期とはまた異なる魅力を放つ作品群を堪能できる。

☆開館60周年記念 小林正和とその時代―ファイバーアート、その向こうへ 2024年1月6日〜3月10日

 小林正和(1944-2004)は京都市に生まれ、京都市立美大で漆芸を専攻するものの、より自由な色彩表現を求めて川島織物デザイン部に就職、そこで「糸」と出会った。一本の「糸」に内在する表現の可能性を追求した彼の作品は、伝統的なテキスタイルの枠組みを越えて「ファイバーアート」と呼ばれ、国内外で高い評価を得ることになった。本展では、この分野の重要な先駆者としての小林の活動を回顧するとともに、彼と伴走した作家たちの作品を併せて紹介することで、改めて「ファイバーアート」の過去、現在そして未来について考える。

京都国立博物館

親鸞聖人生誕850年特別展 親鸞—生涯と名宝 2023年3月25日~5月21日

 2023年は浄土真宗を開いた親鸞聖人(1173~1262年)の生誕850年にあたる。親鸞は京都に生まれ、9歳で出家して比叡山で修行に励むが、29歳で山を下り、法然上人の弟子となる。そこですべての人が平等に救われるという阿弥陀仏の本願念仏の教えに出遇うも、法然教団は弾圧を受け、親鸞も罪人として還俗させられ越後に流罪となる。その後、罪が赦された親鸞は、関東へ赴き、長く布教に励み、やがて京都へと戻り、晩年まで主著『顕浄土真実教行証文類』(教行信証)や「和讃」など多くの著作の執筆や推敲を重ねた。親鸞の求道と伝道の生涯を、自筆の名号、著作、手紙をはじめ、彫像、影像、絵巻など浄土真宗各派の寺院が所蔵する法宝物によって紹介する。

特別展 東福寺 2023年10月7日~12月3日

 新緑や紅葉の名所として知られる東福寺は、京都を代表する禅寺の一つである。日本から中国へと渡り、南宋時代の高僧無準師範(ぶじゅんしばん)に禅を学んだ円爾(えんに)(聖一国師)を開山に迎えて創建された。「東福寺」の名は、奈良の東大寺と興福寺になぞらえて、その一字ずつをとったことに由来する。東福寺の寺宝をまとめて紹介する初の機会となる本展では、「画聖」とも崇められた絵仏師・明兆による記念碑的大作「五百羅漢図」全幅を修理後初公開。応仁の乱による戦火を免がれた貴重な文化財の数々や、巨大伽藍にふさわしい特大サイズの仏像や書画類の優品も一堂に展覧する。草創以来の東福寺の歴史を辿りつつ、大陸との交流を通して花開いた禅宗文化の全容を幅広く紹介。東福寺の日本文化における意義とその魅力を余すところなく見せる。

特別展 雪舟伝説 ―「画聖(カリスマ)」の誕生― 2024年4月13日~5月26日

 日本で雪舟ほどよく知られた画家はいない。雪舟は6件もの作品が国宝に指定されており、間違いなく日本美術史を代表する画家の一人である。桃山時代の雲谷派や長谷川派、江戸時代の狩野派だけではなく、実にさまざまな画家たちが雪舟を慕い、その作品に学びながら、新しい絵画世界を切り開いてきた。本展では、主に近世における雪舟受容をたどることで、「画聖」と仰がれる雪舟への評価がいかにして形成されてきたのかを考える。

京都市京セラ美術館

跳躍するつくり手たち展:人と自然の未来を見つめるアート、デザイン、テクノロジー 2023年3月9日〜6月4日

 地球環境への意識の高まりやテクノロジーの進化など、人間社会のあり⽅が⼤きく変化する現代は、新たな視点が求められ、人間がなしうることの重要性が問い直されている。本展では、企画・監修者に、デザインを軸としてリサーチと思索を重ねてきた川上典李⼦⽒(武蔵野美術⼤学客員教授)を迎え、人間や地球の歴史を意識しながら、柔軟な発想でめざましい活動を展開する日本のアート、デザイン分野の気鋭の20作家(個人・チーム)を取り上げる。1970年代、1980年代生まれを中心とした参加作家による新作や初公開作品を多数紹介。過去と未来、自然と人⼯、情報環境と実社会といったさまざまな関係性を軽やかにつないで再解釈する作品や活動から、激動の時代に求められる「創造へ向かう跳躍するエネルギー」が鮮やかに浮かび上がる。

☆コレクションルーム 春期 2023年3月10日~6月18日 特集「魅惑の昭和モダン」

☆生誕100年 回顧展 石本正 2023年4月4日~5月28日

 舞妓や裸婦の官能的な表現で知られる日本画家、石本正(1920-2015)。石本の生誕100年を記念して、活動拠点だった京都で初めてとなる大規模な回顧展を開催する。石本は島根県浜田市に生まれ、京都市立絵画専門学校(現・京都市立芸術大学)で日本画を学んだ。その後、日本だけでなくヨーロッパの中世美術も広く研究・吸収して確立した情熱的でリアリティーあふれる舞妓や裸婦像は、戦後日本画の人体表現に新風を吹き込んだ。本展では、石本正の個人美術館である浜田市立石正美術館の門外不出の作品に加え、全国から集めた代表作など約140点を一堂に公開。青年時代から75年にも及ぶ画業の全容を振り返る。没後のアトリエで新たに見つかった素描や絶筆となった未完の「舞妓」も展示し、生涯、地位や名声を求めることなく、最期の瞬間まで絵画一筋に生きた石本の生涯と創作の原点に迫る。

マリー・ローランサンとモード 2023年4月16日〜6月11日

 二つの世界大戦に挟まれた1920年代のパリは、さまざまな才能がジャンルを超えて交錯し、類いまれな果実を生み出した奇跡の空間だった。ともに1883年に生まれたローランサンとシャネルの二人は、大戦後の自由な時代を生きる女性たちの代表ともいえる存在だった。本展では、美術とファッションの境界を交差するように生きた二人の活躍を軸に、ポール・ポワレ、ジャン・コクトー、マン・レイ、マドレーヌ・ヴィオネなど、時代を彩った人々との関係にも触れながら、モダンとクラシックが絶妙に融合する両大戦間パリの芸術界を俯瞰。オランジュリー美術館やマリー・ローランサン美術館など国内外のコレクションから、絵画、ドレス、資料など約90点を紹介する。

☆ザ・トライアングル 米村優人 2023年6月20日~9月24日

☆コレクションルーム 夏期 2023年6月23日~9月24日 特集「人間国宝 稲垣稔次郎―遊び心に触れて―」

☆ルーヴル美術館展 愛を描く 2023年6月27日~9月24日

☆井田幸昌展 Panta Rhei|パンタ・レイ―世界が存在する限り 2023年9月30日~12月3日

☆京都市美術館開館90周年記念展「竹内栖鳳(仮称)」 2023年10月7日~12月3日(前期10月7日~11月5日 後期11月7日~12月3日)

 竹内栖鳳は、近代京都の日本画界に最も大きな影響を与えた画家。画壇革新を目指した明治期には、旧習を脱却した新たな日本画表現を模索し、西洋にも渡った。技術が円熟に達した大正・昭和期には、画壇の重鎮として、第一線で活躍しながら多くの弟子を育成した。「写生」を重要視しながら、抜群の筆力で生き生きとした作品を生み出し、圧倒的な求心力で画壇をリードして、近代京都日本画の礎を作った。同館所蔵の重要文化財《絵になる最初》をはじめ、若手時代から円熟期まで、栖鳳の代表作を集めて展示し、一堂にその画業を振り返る。栖鳳の挑戦をより明らかにするため、本画に加え、制作にまつわる写生や下絵、古画の模写など、さまざまな資料も紹介。栖鳳の奮闘を余すところなく振り返る大規模回顧展である。

☆ザ・トライアングル 山本雄教 2023年10月13日~2024年2月12日

MUCA展 ICONS of Urban Art 〜バンクシーからカウズまで〜 2023年10月20日-2024年1月8日公式サイト

 ヨーロッパで高い人気を誇る、アーバン・アートと現代アートに特化したドイツ・ミュンヘンの美術館 Museum of Urban and Contemporary Art (MUCA)のコレクションを紹介する展覧会。20世紀から21世紀にかけて世界各国の都市を舞台に発表されてきたアーバン・アートは、都市空間から生まれ、言語、文化、宗教、出身地などのあらゆる壁や境界を越えた視点から世界を見つめるアーティストたちによって創られてきた。彼らの作品は、ルールや規則に縛られることなく、私たちの眼を社会の不公正、資本主義、人種差別といった様々な課題に向けさせ、考えることを促している。本展では、世界的な活躍を見せるバンクシー、カウズ、バリー・マッギーなど、10名の作家にスポットを当て、日本初公開の作品を含む、約70点を紹介。ポップ・アートからニューリアリズムまで、25年以上にわたる収集活動を基に設立された世界屈指のMUCAのコレクションを代表する、アーバン・アートの「アイコン」とも呼ぶべき先駆者たちの大胆不敵で独創的な作品の数々が楽しめる。

☆コレクションルーム 秋期 2023年10月27日~12月17日 特集「Tardiologyへの道程」

☆コレクションルーム 冬期 2023年12月22日~2024年2月25日 特集「昭和前期の日本画と古典」

☆第10回日展京都展 2023年12月23日~2024年1月20日

☆京都市美術館開館90周年記念展「村上隆(仮称)」 2024年2月3日~6月30日

 村上隆(1962年生まれ)は、マンガやアニメといったポピュラーカルチャー、ファッションアイコンなどの引用やそれらとのコラボレーションを通して、アートの価値や本質的な意味を問いかけてきた。そのキャリアは、欧米が事実上の規範となっている国際的なアート・シーンに日本から独自の視点で挑み、刺激を与え続けてきた営みであると言える。東日本大震災の記憶も新しい2015年に開催された「村上隆の五百羅漢図展」(森美術館)では、世界の現代美術シーンでの地位を確立した村上が制作した、全長100mに及ぶ大作《五百羅漢図》を公開。生と死、鎮魂と祈りなどをテーマに、江戸絵画からも想を得て、改めて日本の伝統に向き合った成果となった。2023年度に90周年を迎える同館で開催する本展は、国内で約8年ぶり、東京以外で初めての個展となり、京都とその歴史を参照した新作も構想されている。

☆ザ・トライアングル 嶋春香 2024年3月5日~6月23日

☆「パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展̶美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ」 2024年3月20日~7月7日

美術館「えき」KYOTO

☆ミュシャ展~マルチ・アーティストの先駆者~ 2023年2月17日~3月26日

 アール・ヌーヴォーの代表的な画家として知られるアルフォンス・ミュシャ(1860-1939年)は、サラ・ベルナールの演劇ポスター「ジスモンダ」をはじめとする数々のポスター作品で知られているが、実際に手掛けたジャンルは非常に多岐にわたる。ミュシャ作品に特徴的な優美な女性像と花々を組み合わせたグラフィックおよびプロダクトデザインは、絵画作品とはまた異なる魅力を宿している。本展では、チェコ在住のズデニェク・チマル博士のコレクションから、ベル・エポックの時代を象徴するミュシャ芸術の中で、特にデザインの仕事に着目。マルチ・アーティストとしてのミュシャについてひもとく。

☆オードリー・ヘプバーン写真展 AUDREY in Cinema 2023年4月1日~5月14日 

☆和田誠展 2023年5月20日~6月18日

☆THE 新版画 版元・渡邊庄三郎の挑戦 2023年6月24日~7月30日

☆絵本作家 谷口智則展 ~いろがうまれるものがたり~ 2023年8月5日~9月3日

☆芭蕉布 人間国宝・平良敏子と喜如嘉の手仕事 2023年9月9日〜10月29日

☆生誕140年 ユトリロ展 2023年11月3日〜12月25日

☆石をやく 土をやく 樂雅臣 樂直入 2024年1月2〜29日

☆京都 日本画新展 2024 2024年2月2〜11日

京都芸術センター

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>文化とメディア—書くこと、伝えることについて

文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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